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映画『バットマン ビギンズ』解説&感想 アメコミ映画新時代の幕開け!

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どうも、たきじです。

 

今回は映画『バットマン ビギンズ』の解説&感想です。アメコミ映画の歴史を変えたといっても過言ではない、クリストファー・ノーラン監督によるバットマン三部作(ダークナイト・トリロジー)の第一作です。

 

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作品情報

タイトル:バットマン ビギンズ

原題  :Batman Begins

製作年 :2005年

製作国 :アメリカ

監督  :クリストファー・ノーラン

出演  :クリスチャン・ベール

     マイケル・ケイン

     リーアム・ニーソン

     ケイティ・ホームズ

     ゲイリー・オールドマン

     キリアン・マーフィー

     トム・ウィルキンソン

     ルトガー・ハウアー

     渡辺謙

     モーガン・フリーマン

上映時間:141分

 

解説&感想(ネタバレあり)

ダーク&リアリズムで描かれるバットマン

バットマンがコミックスで初登場したのは1939年と古く、今では日本でもトップクラスに有名なアメコミのスーパーヒーローの一人となっています。何度も実写化されており、長編映画のシリーズとしては、本作で3度目となります。


最初は、1966年の『バットマン』。同年に始まったテレビシリーズの映画版です。こちらの作品は、パッケージからも想像できるように、ファミリー向けのコミカルタッチの作品です。


次が、1989年公開のティム・バートン監督による『バットマン』に始まるシリーズ。こちらはティム・バートンらしいダーク&ファンタジーな世界観で描かれた作品です。途中でジョエル・シュマッカーに監督を交代して4作品が製作されました。


そして2005年、クリストファー・ノーラン監督による新たなシリーズの第一作として公開されたのが、本作『バットマン ビギンズ』です。このシリーズの特徴は、ダーク&リアリズムといったところでしょうか。もちろんコミックの映画化である以上、ある程度漫画的な部分はあるにせよ、これまでの作品に比べて現実的でヘヴィーなストーリーで、見応えのあるシリーズになっています。

 


すべてが繋がるストーリー

アメコミ映画の宿命ですが、どうしてもシリーズ第一作は、ヒーローの誕生までの経緯を描くことに尺を使う必要があります。本作も、ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)がバットマンになるまでを前半で丁寧に描き、後半でスケアクロウ(キリアン・マーフィー)らとの闘いが描かれます。


それでも、前半後半に分断された完全な二部構成になってしまわないのがノーランの脚本です。"内面に抱える恐怖"が本作の一貫したテーマとなっています。暗闇、コウモリ、両親の死といった、ブルースの抱えるトラウマや恐怖。スケアクロウが使う幻覚剤によって増幅される人々の恐怖心。こうした共通する要素が前半と後半を自然につなぎます。


そして、バットマン誕生に大きく関わったラーズ・アル・グールは、黒幕として後半に再登場します。スケアクロウの幻覚剤をゴッサムの上水道に流し込み、ゴッサムの中心にあるウェイン・タワーで水源気化装置を使うことで街中にガスを噴出させ、街を恐怖と混乱によって壊滅させるというのがラーズの計画です。


ブルースの父が街の中心に据えたウェイン・タワー、ウェイン産業から奪われた気化装置、ゴッサムを破壊すべきというラーズ・アル・グールの思想。ラーズの計画の全貌が明らかになることによって、これらすべての伏線が繋がります。これが映画を観る我々にはとても心地良く、クライマックスにかけてすっかり映画に引き込まれていきます。

 


バットマンのアンチヒーロー像

ブルースは、ラーズ・アル・グール率いる"影の同盟"で修行しますが、正義のために腐敗した街を破壊したり、犯罪者を処刑したりといったやり方を拒み、同盟を抜け出します。"悪とは同化しない"という信念を見せる彼ですが、それでも聖人君子とは異なるアンチヒーロー像がバットマンの魅力の一つです。


バットマンは、悪者を容赦なく逆さに吊るしたり痛めつけたりします。「本当だ、神に誓う!」と怯える相手に「俺に誓え!」と言い放ちます(凄みを利かせた低音ボイスがいい感じ)。


クライマックスのラーズ・アル・グールとの闘いでも、暴走する列車の中でラーズを追い込み、「遂に人を殺すのか?」と問うラーズに対し、「殺さない、だが助けもしない」と、ラーズを残して列車から脱出します。こうしたシーンが、バットマンのアンチヒーロー像を象徴します。

 


作品を盛り上げる"脇役"たち

主演のクリスチャン・ベールは堂々たる演技で、カリスマ性のあるバットマンを表現していましたが、本作で忘れてはならないのが、脇を固めるベテラン勢の存在です。


ブルースの執事アルフレッド役のマイケル・ケイン、バットマンに様々な兵器を提供するルーシャス・フォックス役のモーガン・フリーマン、バットマンに協力する警官ジム・ゴードンゲイリー・オールドマン、ブルースを鍛える影の同盟のデュカード(実はラーズ・アル・グール)役のリーアム・ニーソンラーズ・アル・グール(実は影武者)役の渡辺謙。映画ファンなら名前を見ただけでテンションが上がってしまいそうな、実力派の名優達が、アメコミ原作の映画にここまで集まったのは、本作の脚本の素晴らしさあってのことでしょう。


また、脇で作品を盛り上げるのは役者だけではありません。ジェームズ・ニュートン・ハワードとハンス・ジマーによる音楽も素晴らしいです。ハンス・ジマーというと、映画の前面に出てくるような勇壮な音楽のイメージが強いですが、本作は裏でしっかりと仕事するような目立たずとも堅実な音楽で映画を盛り上げています。


口ずさみたくなるようなメインテーマがあるわけではないのですが、終始かっこいい音楽なのです。映画を観た人なら分かると思いますが、二音で奏でられる耳に残るフレーズがあります。あれは映画音楽の新境地と言っていいんじゃないかと思うくらいです。

 


印象に残る一言台詞

最後に、本作の台詞の良さにも触れておきたいです。上で触れた「俺に誓え!」もそうですが、本作には、印象に残る一言台詞が多いのです。


ブルースは世間の目を欺くため派手なプレイボーイ生活をしますが、彼が想いを寄せる幼馴染みのレイチェル(ケイティ・ホームズ)と鉢合わせしてしまいます。ブルースは「本当の僕じゃない」と取り繕いますが、レイチェルに「人の本性は行動で決まる」と言われてしまいます。


そして終盤のシーン。レイチェルを助け、ラーズの元へ向かおうとするバットマンに対し、レイチェルは「行く前にせめて名前を」と問います。これに対しバットマンは「人の本性は行動で決まる」とだけ言い残し、去っていきます。これで彼女はブルースがバットマンであることを悟ります。直接名乗るのではなく、台詞の引用で返すという、痺れるシーンです。この台詞の直後に流れ始める音楽がまたいいのよ!


それから、ブルースが子供の頃に井戸に落ち、それを助けた父親が言う台詞「人はなぜ落ちる?這い上がるためだ」。この台詞も、終盤、ここぞというところでアルフレッドがブルースに対して言い、ブルースを鼓舞します。これらの台詞のように、台詞を伏線として映画のクライマックスに向けて盛り上げていくというのが見事です。


一方、シリアスなシーンにコミカルな一言で緊張を緩和するような台詞も。ブルースが昔あげたコートを着たホームレスを見たバットマンの「いいコートだ」とか、バットマンがバットモービルで颯爽と走り去るのを見たゴードンの「私も買おうかな」とか、燃える屋敷で敵を背後から殴り倒したアルフレッドの「消防士じゃないですよね」とか。こうしたユーモアあふれる台詞もいい味付けになっています。

 

最後に

今回は、アメコミ映画の歴史を変えたシリーズの第一作、『バットマン ビギンズ』の感想でした。映画最後にはバットシグナルが完成し、バットマンの宿敵ジョーカーの出現を匂わせて余韻を残しています。そして映画史に残る傑作『ダークナイト』へと続いていくわけです!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

 

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