人生をもっと楽しく

人生を楽しむ多趣味サラリーマンが楽しいことを発信するブログ

映画『トップガン マーヴェリック』解説&感想 自らの存在価値を証明したトム・クルーズ

【スポンサーリンク】

どうも、たきじです。

 

今回は2022年公開のアメリカ映画『トップガン マーヴェリック』の解説&感想です。1986年の『トップガン』の公開から36年の時を経て製作された続編です。

 

 

↓ 前作の感想はこちら

 

作品情報

タイトル:トップガン マーヴェリック

原題  :Top Gun: Maverick

製作年 :2022年

製作国 :アメリカ

監督  :ジョセフ・コシンスキー

出演  :トム・クルーズ

     マイルズ・テラー

     ジェニファー・コネリー

     ジョン・ハム

     グレン・パウエル

     ルイス・プルマン

     エド・ハリス

     ヴァル・キルマー

 上映時間:131分

 

解説&感想(ネタバレあり)

マーヴェリックとルースターのドラマ

前作の感想でも述べたように、前作は"迫力のドッグファイト"と"かっこいいトム・クルーズ"を見るための映画であって、ドラマ性はあってないようなもの。別の言い方をすれば薄っぺらいものでした。それが本作はどうでしょう。前作はすべて本作のフリであったかのように、前作の物語をしっかりと土台に据えつつ、ドラマを展開しています。


ドラマの軸となるのは、マーヴェリック(トム・クルーズ)とルースター(マイルズ・テラー)の関係。ルースターは、かつてのマーヴェリックの相棒で訓練中に命を落としたグースの息子。ルースターをグースと同じ目に合わせたくなかったルースターの母親の遺言を聞いて、マーヴェリックはルースターの願書を破棄した過去があります。そして、そのことでマーヴェリックとルースターにはわだかまりがあるのです。


これを巡ってのマーヴェリックの苦しみが、本作では丁寧に描かれています。グースを死なせてしまった苦しみ、ルースターと分かり合えない苦しみ、任務に就きたいルースターの気持ちを察しつつも危険に晒したくないとい想い、ルースターの父親代わりとして彼を見守りたい気持ち。さまざまな感情が入り混じっています。


アイスマン(ヴァル・キルマー)とのシーンもこうした苦しみについての会話に終始しますし、ペニー(ジェニファー・コネリー)とのロマンティックなシーンでさえ、ルースターのことを話題にしています。


前作は大したドラマのないロマンスをダラダラと描いていた印象がありましたが、本作におけるペニーとのロマンスは、バックグラウンドで進む物語にとどめ、ドラマとしてはルースターとの関係にしっかりフォーカスしていて軸がブレません。

 

ドラマが盛り上げる興奮

こうしたドラマ性によって、クライマックスで彼らが挑むミッションの様子に気持ちが乗ります。これによって、アクションそれ自体の素晴らしさ以上に興奮できるものになっていることは間違いありません。


マーヴェリックのスピードに食らいつき、爆撃を成功させるルースター。ミサイルからルースターを守るマーヴェリック。マーヴェリックを救出するために敵地に引き返すルースター。2人の動きに目が離せません。


そして、敵地から脱出するため、今となっては古い時代の戦闘機であるF-14に乗り込むマーヴェリックとルースター。前作のグースに代わって、息子のルースターがマーヴェリックと共に飛ぶという、最高のお膳立てがなされるのです。

 

訓練から実戦への連続性

クライマックスを盛り上げる要素はドラマ性だけにとどまりません。劇中でしっかりと描写される訓練の様子が、クライマックスの実戦へと連続性をもって繋がるように描写されていることも、クライマックスを盛り上げる要素として作用しています。


前作では、訓練を通じてやっていることは仲間内でのナンバーワン争いに過ぎませんでした。また、クライマックスの実戦も、敵を倒さねばならないという大義もあいまいで、訓練から実戦への連続性も弱いものでした。


翻って本作。彼らが挑む困難なミッションの内容は、まず映画序盤で明らかにされ、彼らはそれを成功させるという明確なゴールに向かって過酷な訓練に臨みます。訓練の様子を通じて、ミッションの流れが繰り返し描写されているので、観客はクライマックスでの状況をしっかり把握できます。


さらには、ミッションの成功のためには3つの奇跡が必要であること、そしてそれがいかに困難なことかもしっかり描写されているので、クライマックスでは常に緊張感を保つことができるようになっています。

 

郷愁を誘う前作へのオマージュ

本作は前作から36年もの時を経て製作された続編。それだけの時の流れがあるだけに、前作とオーバーラップするような描写が郷愁を誘います。


前作と全く同じタイトルバック。オープニング曲と、空母から飛び立つ戦闘機の映像。滑走路から飛び立つ戦闘機とバイクで並走するマーヴェリック。教官と知らずに無礼を働く生徒。前作へのこのようなオマージュが、本作の味付けとして効いています。


そして、ペニー・ベンジャミン。前作で、かつてマーヴェリックがちょっかいを出していた女性として名前だけ出てきていた彼女が、本作でヒロインとして登場するという面白さ。演じるジェニファー・コネリーは相変わらず美しい!これはいいキャスティングでした。

 

トム・クルーズの気概に惚れる

本作の冒頭、マーヴェリックはテストパイロットとしてマッハ10に挑戦しています(『ライトスタッフ』のサム・シェパードを思い出しますね。エド・ハリスもいるし)。この超音速機のプロジェクトは凍結されようとしており、その予算は無人機の開発の方に充てられようとしていることが語られます。無人機が空中戦の主役になることによる、パイロットの時代の終わりが示唆されています。


つまり前作で描かれたF-14のような旧式の戦闘機も、それを操るパイロットも、それによる空中戦も、時代遅れということです。しかし、本作では、電磁波妨害の影響を受けない旧式の戦闘機が空中戦で活躍することになります。それを見事に操るのも、時代遅れの人間であるはずのマーヴェリックなのです。


本作のマーヴェリックには、トム・クルーズ自身が投影されているようにも感じられます。CGをはじめとする様々な映像技術が進歩した現代において、自ら危険なスタントも辞さずに体を張ってきたアクション・スター。そんなトム・クルーズが自らの存在価値をスクリーンいっぱいに表現したのが本作と言えるのではないでしょうか。


ミッションが成功可能なことを、自らデモンストレーションして見せたマーヴェリックのように、自分のような"古い"アクション・スターでも、今までにない傑作を撮ることができる、それを証明したのです。


時代が移り変わっても、これまでと変わらずに人々を魅了し続けるトム・クルーズ。その気概に惚れてしまいます。

 

最後に

今回は映画『トップガン マーヴェリック』の解説&感想でした。なんでもない映画(あえてこう言わせてもらいますが)の続編を、こんなに素晴らしいものに仕上げられることに、私は驚きを隠せません。続編が前作の価値を破壊してしまうことは数あれど、前作を続編への前フリとして価値を上げる作品なんて、そうそうないことですよ。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

多趣味を活かしていろいろ発信しておりますので、興味のあるカテゴリーがございましたら他の記事ものぞいていただけると嬉しいです!

はてなブログの方は、読者登録もお願いします!

 

↓ 他の映画の解説&感想もぜひご覧ください!