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映画『日本のいちばん長い日』解説&感想 終戦の裏側を描いた極上の群像サスペンス

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どうも、たきじです。

 

今回は1967年公開の日本映画『日本のいちばん長い日』の解説&感想です。

 

 

作品情報

タイトル:日本のいちばん長い日

製作年 :1967年

製作国 :日本

監督  :岡本喜八

出演  :三船敏郎
     笠智衆
     山村聰
     黒沢年男
     中丸忠雄
     志村喬
     高橋悦史
     藤田進
     島田正吾
     松本幸四郎
     戸浦六宏
     天本英世
     佐藤允
     北村和夫
     加山雄三     

上映時間:157分

 

解説&感想(ネタバレあり)

誰もが知る結末にいたるまでの過程

『日本のいちばん長い日』は、太平洋戦争の終結までの数十時間を描いた作品です。日本がポツダム宣言を受諾して降伏し、昭和天皇が終戦詔書を朗読した玉音放送が流れる。その裏側にあった閣内の対立や陸軍青年将校の蜂起をスリリングに描きます。

 

今回、二度目の鑑賞でしたが、157分という上映時間も長さを感じさせず、あっという間でした。ポツダム宣言受諾を巡る対立、不穏な動きを見せる陸軍、天皇が朗読する終戦詔書の文言を巡る議論、そして陸軍将校による蜂起と、玉音放送の録音盤を巡る攻防。何度も山場があり、その展開に終始釘付けにさせられます。

 

日本は降伏するし、玉音放送は流れる。それは誰もが知っています。しかし本作は、その瞬間がいかに危うい均衡の上に成り立っていたのかを徹底して描くことで緊張感を生み出しています。

 

国家が歴史的決断に至るまでの攻防を描いた本作は、極上の政治サスペンスであり群像劇です。まさに歴史の裏側を覗き見るような面白さがあります。

 

驚くべき脚本の構成力

本作には驚くほど多くの登場人物が入り乱れます。政治家、軍人、宮内省関係者。軍人ひとつ取っても、近衛師団、参謀本部、陸軍省とさまざまな組織が登場します。

 

そのすべての人物について理解できるはずもないにもかかわらず、特に混乱することもなく物語にのめり込めるのは驚くべきことです。それは脚本を手掛けた橋本忍の手腕によるところが大きいのでしょう。

 

映画は観客に一人ひとりの人物を覚えさせようとはしません。終戦派と抗戦派、天皇とその周辺、玉音放送を準備するNHK関係者といった、思惑や立場で整理して見せます。そのため名前を覚えきれなくても、しっかり話が追えるのです。

 

テンポよく場面が切り替わりながらも、状況が驚くほど分かりやすい。群像劇としての完成度の高さには何度観ても感心させられます。

 

また、政治家(および軍人)たちによる会議や意思決定の積み重ねで国家危機を描いている点は、後年の『シン・ゴジラ』にも通じるものを感じました。危機の種類はまったく違いますが、いずれも国家の意思決定そのものをスリリングなドラマにしています。

 

日本映画のオールスターが集結

本作を語る上で欠かせないのが豪華すぎるキャストです。

 

小津安二郎監督作品でおなじみの笠智衆や山村聰。

 

黒澤明監督作品を支えた三船敏郎、志村喬、宮口精二、加東大介、藤田進、土屋嘉男。

 

さらに、本作の岡本喜八監督の作品でよく目にする神山繁、高橋悦史、天本英世。

 

小林桂樹や加山雄三まで登場し、ナレーションは仲代達矢。昭和天皇役には先々代(八代目)の松本幸四郎(ノンクレジット)。

 

私は古い日本映画をそこまで多く観ているわけではありませんが、そんな私でも何度も目にしたことのある俳優たちが次々に登場し、それだけで飽きさせません。それに、現代でもよく知られているということは、それだけ魅力や実力を持った俳優ということでもありますからね。

 

中でも印象に残った2人

オールスターキャストの中にあって、まだキャリア序盤ながら畑中少佐という大きな役どころを演じた黒沢年男は強い印象を残しています。私の世代だと、俳優や歌手としてよりもバラエティーでの活躍のイメージの方が強い黒沢ですが、本作ではエネルギッシュな演技を見せてくれます。本作での黒沢の演技は、どこか青臭く、未熟さも感じさせますが、それが若き畑中の持つ危うい情熱や狂気と重なって、妙に説得力を生んでいます。

 

そしてもうひとり、オールスターキャスト中でも、特に印象に残るのはもちろん三船敏郎です。血気盛んな青年将校たちを前に、難しい立ち場に立たされる阿南陸相を圧倒的な存在感で演じています。阿南が切腹を前に日本の将来を語る言葉はいかにも映画のフィクションっぽくはあるものの、胸が熱くなる人も少なくないのではないでしょうか。

 

阿南が語る日本の将来

ここで阿南が語るのは、次代の日本人に日本の再建を託す言葉です。

 

これからは日本の歴史がかわるのだ。どう変わるのか、どう変えなければならんのか、それは今の俺にはさっぱり見当もつかん。ただ、歴史がどう変わろうとも、日本人の一人ひとりがそれぞれの持ち場で生き抜き、耐え抜き、そして懸命に働く、それ以外に再建の道はない。いや、そればかりではなく、生き残った人々が二度とこのような惨めな日を迎えないような日本に、なんとしてでもそのような日本に再建してもらいたい。

 

本作が公開されたのは1967年。終戦から22年後のことです。当時の観客は、焼け野原となった日本と、その後の復興、高度経済成長を実際に経験しています。

 

だからこそ、日本がどん底にいる時に日本の将来を語る阿南の言葉は、当時の観客には特別な重みがあったはずです。そして、さらにその先も知る現代の私たちにとっては、複雑な思いも抱かせるところではありますが…。

 

最後に

今回は映画『日本のいちばん長い日』の解説&感想でした。玉音放送の向こう側で、どれほど多くの人々が迷い、対立し、決断していたか。歴史が動いた瞬間を鮮烈に描いた本作は、歴史映画、群像劇、政治サスペンス、そのすべての魅力が詰まった傑作です。

 

個人的な満足度:9/10

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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