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映画『ヴェノム』解説&感想 アクションはいいのに脚本が残念

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どうも、たきじです。

 

今回は2018年公開のアメリカ映画『ヴェノム』の解説&感想です。ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)作品の第1作です。

 

 

作品情報

タイトル:ヴェノム

原題  :Venom

製作年 :2018年

製作国 :アメリカ

監督  :ルーベン・フライシャー

出演  :トム・ハーディ
     ミシェル・ウィリアムズ
     リズ・アーメッド
     スコット・ヘイズ
     リード・スコット

上映時間:112分

 

解説&感想(ネタバレあり)

映画『ヴェノム』は、一言で言えば「面白くなれたはずの映画」です。キャラクターとしての魅力と、見応え十分のアクション。これらを備えていながら、脚本には致命的とも言える欠陥があり、それが作品の魅力を大きく損ねています。

 

スパイダーマンの代表的ヴィランの1人

サム・ライミ監督によるスパイダーマン・シリーズの第3作『スパイダーマン3』(2007年)でも登場したヴェノムは、スパイダーマンの代表的ヴィランの1人です。同作や原作では、スパイダーマンに一度寄生したシンビオートがエディ・ブロックに寄生することで、スパイダーマンの能力を受け継いだヴェノムとなります。

 

本作はスパイダーマン関連のキャラクターを主人公にしたシェアード・ユニバースであるソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)作品の第1作ですが、SSUにはスパイダーマン自身は登場しません。つまり、本来はスパイダーマンとは切っても切れない関係のヴェノムですが、本作のヴェノムはスパイダーマンとは関係しません。

 

この点はヴェノム本来の魅力を損ねています。一方で、エディとヴェノムの掛け合いを前面に押し出したキャラクター描写に代表されるように、新たな魅力も備えています。

 

ちなみに、エディがもともとはニューヨークにいた設定や、冒頭に登場する宇宙飛行士の名前がジェイムソン(デイリー・ビューグルのJ・ジョナ・ジェイムソンの息子は宇宙飛行士)であるなど、本作にはスパイダーマンファンがニヤリとする要素が散りばめられています。

 

スタントを前面に出したアクション

本作のアクションシーンはなかなか見応えがあります。ヴェノムがエディの体から飛び出しながら戦う描写は新鮮で楽しいです。特にいいのは、1968年公開の映画『ブリット』を思わせるような、サンフランシスコの街をたっぷり使ったカーチェイス。CG全盛の時代に、あえてスタント感を前面に押し出すような気概も感じられ、すっかり見入ってしまいました。

 

クライマックスの戦いもそれなりに見せてくれますし、全体的にアクションの水準は高いです。だからこそ、脚本がもっと良ければ、ストーリーがもっとアクションを盛り上げてくれたのにと思ってしまい、もどかしい気持ちです。

 

ヴェノムの内面を描かないという失敗

本作の脚本の最も致命的なところは、エディと並ぶ主人公であるヴェノムの内面をほとんど描いていない点です。地球を侵略をするはずだった彼が、なぜ仲間を裏切る選択をしたのか。その過程はまったくと言っていいほど描かれておらず、「俺も負け犬だ」という唐突な台詞ひとつで片付けられています。

 

彼が
・仲間からどう扱われてきたのか
・何に挫折し傷ついたのか
そうした背景が一切語られず、観客の想像力に丸投げされてしまっています。

 

本来「負け犬同士の共闘」なんていうテーマは、胸が熱くなるテーマです。落ちこぼれ、居場所を失った者たちが結束し、強者に立ち向かう。そこには強いドラマが生まれる余地があったはずです。

 

2人が絆を深めるドラマの不足

しかし、本作では2人が絆を深め、結束する過程の描写も明らかに不足しています。2人はただ漫才のような掛け合いを続け、ともに危機をやり過ごすうちに、互いに"慣れた"だけにしか見えないのです。互いを理解する瞬間や、距離が縮まる出来事が描かれないため、絆を深めた実感がないのです。

 

クライマックスで、エディがヴェノムに手を伸ばして再融合する場面や、ヴェノムがエディに別れを告げて身を挺してエディをかばう場面は、本来なら涙を誘うはずのシーンのはず。しかし、2人が絆を深めた実感がないので、どうしても唐突に感じられ、感動が浅くなってしまいました。

 

アンとの関係性の描写も雑に感じる

エディとヴェノムの関係のみならず、エディとアンの関係性の描写も雑に感じられます。エディのやらかしによって職を失ったアンは、激しい怒りとともに迷いなくエディのもとを去ります。中盤で再会したときもアンには未練など一切なさそうでした。エディのやったことは擁護し難いことではありますが、同居し、婚約までした相手からここまであっさり離れるものかと、ここでまず違和感がありました(浮気ならまだわかるのですが)。

 

それが終盤になると、ヴェノムに寄生された状態で突然のキス。エンディングではなんか良好な関係に戻っています(ただし、アンの気持ちはダンにあります)。

 

感情の動きが描写されないまま、アンの唐突な変化の繰り返し。アンを演じるミシェル・ウィリアムズも、それを受けるトム・ハーディも、演技のできる俳優であるだけに、この雑なやりとりが惜しく感じられました。

 

最後に

今回は映画『ヴェノム』の解説&感想でした。キャラクターとしてのヴェノムの魅力と、スタント主体のアクションは好印象ながら、脚本の弱さがそれを台無しにしています。名作になるチャンスはあったのに、そうはならなかった。そんな作品です。

 

個人的な満足度:6/10

 

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