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映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』解説&感想 TVアニメの劇場版という枠を超えた名作

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どうも、たきじです。

 

今回は、1984年公開のアニメ映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の解説&感想です。1981〜1986年に放送されたTVアニメ『うる星やつら』の劇場版第2作です。

 

作品情報

タイトル:うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

製作年 :1984年

製作国 :日本

監督  :押井守

声の出演:古川登志夫
     平野文
     鷲尾真知子
     藤岡琢也
     神谷明
     杉山佳寿子
     島津冴子
     田中真弓
     千葉繁
     永井一郎

上映時間:97分

解説&感想(ネタバレあり)

本作は前作に引き続き押井守が監督を務めています。『うる星やつら』のフォーマットを借りて、監督が描きたいことを自由に描いたという印象です(原恵一監督が『クレヨンしんちゃん』のフォーマットで『オトナ帝国の逆襲』や『アッパレ!戦国大合戦』を作ったのと同じように)。本作はTVアニメの劇場版ではあるものの、イマジネーション溢れるストーリーと表現によって、映画ファンから高い支持を集める作品になっています。

 


学園祭前日の平和なドタバタ。しかしこの"前日"が繰り返される違和感。なぜか家に帰れない。自分たち以外の人がいないという怪奇。やがて目にする世界の構造。突然廃墟と化す町。


プロット自体が独創的で、ぐいぐい引き込まれていくのですが、シーンごとの台詞やらアニメーションの表現やらがいちいち素晴らしいのです。


例えば、世界の異常に気付いた温泉マークとサクラが喫茶店で話すシーン。BGMと呼ぶのがはばかられるほど前面に出てくるピアノ音楽、2人の間でグルグルと回るカメラワーク、2人の聞き心地のいい長台詞にうっとりしてしまいます。


みんな家に帰れないシーンは、とにかく不気味な演出の畳みかけが見事ですね。深い暗闇と人のいない異様さ、大きな帽子を被り顔を見せない神出鬼没の少女、なぜか元の駅に戻る電車、怪しすぎるタクシー運転手。これにはゾクゾクさせられます。


面堂のハリヤーによって空から町を俯瞰するシーンは、思わぬ展開に目を見張ります。町は円形に切り取られ、亀の像の上に乗っています。しかも亀の像と町の間には、姿を消していた錯乱坊や温泉マークが石像の姿で町を支えています。この衝撃的な展開もさることながら、このイマジネーションが見事ですね。


「町が亀の上に乗っている」というのは、古代インドの宇宙観(亀の上で4頭の象が世界を支えている)をモチーフにしていると思いますが、タクシー運転手に扮した夢邪鬼が語った「亀に乗って竜宮城に行ったのが浦島太郎だけでなく村人全員だったら」とも繋がるのが見事です。


イマジネーションということで言えば、廃墟と化した町の表現も素晴らしいです。戦車の上で日光浴するサクラに、池と化した運動場で水上バイクに乗るラム。池沿いに家電やら生活用品を並べてくつろぐ男達。針が外れ、時間を知ることのできない大時計の鐘が鳴る——。このプレタイトルで、簡単に映画に引き込まれました。

 


やがて、すべてはラムの夢であることが明らかになるわけですが、単なる夢オチではありません。なんせ夢の主体はラムですが、映画はその中で奮闘する周囲の人間の目線で描かれるわけですからね。"夢の共有"とも受け取れるこうした要素は、今敏監督の映画『パプリカ』やクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』なんかに通じるものがあります。


夢が崩壊を始めてから、夢邪鬼があたるに見せる夢の畳みかけは、ややテンポが悪くも感じるものの、これまたイマジネーションに溢れています。TVアニメ第1話の引用、フランケンシュタインのパロディ、夢か現実か分からなくなるSF的悪夢と続き、物語の結末へと自然と流れていくのが見事です。


夢だ、現実だ、は考え方一つ。ならいっそのこと夢の中でおもしろおかしく過ごした方がいい。夢邪鬼はそう言ってあたるを誘惑します。蝶になった夢を見た男が目を覚まし、もしかして本当の自分は蝶が見てる夢の中にいるのでは、という説話『胡蝶の夢』の引用が、本作に哲学的なテーマを与えています。このあたりは映画『マトリックス』に通じるものを感じました。


それにしても、夢邪鬼を演じた藤岡琢也さんはうまいですね。声質やトーンの聞きやすさもさることながら、ナチュラルな関西弁での軽快な語り口は、上方落語を聴いているかのよう。いや、私はてっきり噺家が声を当てているのだと思ってましたよ。

 

最後に

今回は、映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の解説&感想でした。TVアニメの劇場版という枠を超えて、映画ファンに支持される本作。イマジネーション溢れるストーリーと表現によって極めて独創的な作品に仕上がっています。後世の作品にも影響を与えたという意味でも貴重な一本です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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