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短編映画『つみきのいえ』解説&感想 12分で振り返るおじいさんの人生

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どうも、たきじです。

 

今回は、映画『つみきのいえ』の解説&感想です。アカデミー賞(短編アニメ賞)を受賞した名作です。

 

作品情報

タイトル:つみきのいえ

製作年 :2008年

製作国 :日本

監督  :加藤久仁生

上映時間:12分

解説&感想(ネタバレあり)

本作は水没した街で積木のように家を積み上げて、辛うじて水面から顔を出した家に暮らすおじいさんのお話です。(おそらくは地球温暖化の影響で)少しずつ水位が上がっていく街で、数年ごとに家を積み上げて暮らしてきたというわけです。


ある日、おじいさんは、水没した下の階にパイプを落としてしまいます。ダイビングの装備を整えて、下の階に潜ってパイプを拾いますが、その時、下の階で暮らしていた頃の思い出(おじいさんが落としたパイプをおばあさんが拾って手渡してくれる)がフラッシュバックします。おじいさんは、たまらずにさらに下の階へ、そのまた下の階へと潜っていき、人生を遡っていきます。


娘夫婦や孫との団欒、娘の結婚、娘を学校に見送る何でもない日常、娘の誕生と成長、1階1階におじいさんにとって大切な思い出があります。おじいさんが水の底までたどり着くと、家の前の大きな木の下に、おじいさんの幼少時代からの思い出が浮かび上がってきます。幼馴染の女の子と戯れ、やがて二人は恋をして、結婚、そして2人で小さな家を建てます。


この家が土台となり、上へ上へと家が積まれています。周りの家はそこまで高く積み上がっていないことから、途中で引っ越したようですが、おじいさんは幼い頃からずっとこの地で暮らしてきたわけで、この積み上がった家はおじいさんの人生そのものというわけです。


おそらく娘夫婦は遠方に暮らし、おばあさんは亡くなっていると思われます。ひとりぼっちの現実に戻ったおじいさんの姿は、少し寂しさも感じさせますが、家に戻ったおじいさんが2つのグラスにワインを注ぎ、軽快にグラスを合わせるラストシーンには、ほっこりさせられました。


本作の翌年に公開されたピクサー映画『カールじいさんの空飛ぶ家』の冒頭で、カールじいさんの幼い頃から現在まで(幼馴染の妻と愛を育み、死別するまで)をモンタージュで描いていますが、このシーンは本作を連想させました。


このモンタージュも、これはこれで素晴らしかったですが、そうした類似の作品にはない本作の魅力は、やはり、水没した家を潜っていくという特有の設定にあります。おじいさんの脳裏を巡る思い出の描写自体が、ただでさえノスタルジーを掻き立てるのに加え、それぞれの空間が今となっては決して取り戻すことのできない空間になってしまっているのが、切なく寂しい感情をも掻き立てます。


また、鉛筆の質感や淡い色使いが印象的なアニメーションの表現もこのストーリーにマッチしています。これは加藤久仁生監督さまさまです。


ちなみに長澤まさみさんがナレーションを入れたバージョンがあるようですが、こちらは未見。未見で言うのははばかられますが、本作は多くを説明しないからこそいい面も多分にあるので、ナレーションはなくていいと思います。

 

最後に

今回は、映画『つみきのいえ』の解説&感想でした。わずか12分ですが、感情を強く揺さぶられる作品でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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