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映画『キートンの恋愛三代記』解説&感想 バスター・キートンの長編デビュー作

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どうも、Takijiです。

 

今回は映画『キートンの恋愛三代記』の解説&感想です。映画黎明期の喜劇王バスター・キートンが監督・主演を務めた長編作品として第一作にあたる作品です。

 

※作品の著作権保護期間は終了し、パブリックドメインとなっています。

 

作品情報

タイトル:キートンの恋愛三代記

     滑稽恋愛三代記(別題)

原題  :Three Ages

製作年 :1923年

製作国 :アメリカ

監督  :バスター・キートン

     エドワード・F・クライン

出演  :バスター・キートン

     マーガレット・リーイー

     ウォーレス・ビアリー

 上映時間:63分

 

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解説&感想(ネタバレあり)

3つの時代の恋愛物語

本作は、"天地創造以来「愛」だけは変わることなく受け継がれてきた"という序文に始まり、石器時代、古代ローマ時代、現代という3つの時代の愛を比較する形で、物語が紡がれます。


基本プロットと演者は3つの時代で共通です。(バスター・キートン)は(マーガレット・リーイー)に恋をしますが、自分よりスペックの高い恋敵(ウォーレス・ビアリー)に女を奪われます。それでも男は諦めずに女へのアプローチを続け、やがて男は恋敵と対決し、勝利します。その後、男は恋敵に嵌められて大ピンチに陥りますが、それを跳ね除けて女を射止めます。


本作は、このような3つの時代で同一プロットを並行して描き、時代ごとの特徴を生かしたギャグ満載で綴られたラブコメディです。


このように物語を並列に描くのはD・W・グリフィスが『イントレランス』(1916年)で行った手法です。『イントレランス』は現代でも映画の歴史を語る上で必ず言及される教科書的作品ですから、本作が公開された1923年という時代を考えると、本作が『イントレランス』を意識していることは間違いないでしょう。


本作では、各時代それぞれが4つのパートに分かれています。すなわち、男が女のパートナーに選ばれず失意に陥るパート、男が女にアプローチを続けるも空回りするパート、恋敵と対決し勝利するも恋敵に嵌められるパート、そしてピンチを脱して女を射止めるパートの4つです(きれいな起承転結ですね)。これらのパートごとに三時代を続けて描くことで、時代の違いを比較する面白さが生まれています。


例えば、冒頭のパートにおいて、男は女のパートナーとして名乗りを上げますが、彼女の親は、男よりスペックの高い恋敵の方を娘のパートナーに選びます。この"スペック"の基準が、石器時代は腕力、古代ローマ時代は階級、現代は銀行(勤め先なのか所有口座なのかよく分かりませんでしたが…)というのが面白いです。


他にも、男と恋敵の対決の仕方が、石器時代は棍棒による殴り合い、古代ローマ時代は戦車競争、現代はアメフトだったり、男が恋敵に嵌められて陥る"ピンチ"が、石器時代ではマンモスによる引きずり回し、古代ローマ時代ではライオンのいる穴への落下、現代では冤罪での逮捕だったりと、それぞれの違いが面白いです。こうした比較を楽しみながら見られるのがいいです。

 

全身のパフォーマンスで見せる"石器時代"

石器時代のシーンは、笑いの密度が比較的低めな印象です。そんな中で面白いのはやはり全身で演じるキートンのパフォーマンスです。棍棒で殴られて大袈裟に吹っ飛ぶキートン。巨体の女性に崖から突き落とされ、投げキッスしながら川に落ちて行くキートン。最高でしょ!


個人的に印象的なのは、恋敵と決闘することになった男が遺言を書くシーン。男が遺言を喋ると代書屋的な女性がハンマーと楔で岩に遺言を打ち込んでいきます。ここで、男が長々と喋るのに、女性はハンマーを一打ちするだけ、というギャグがあります。この手のギャグは現在でも通訳系のネタでは定番のような気がしますが、まさか1923年の映画で見られるとは!文字通り古典的なギャグですね。


あとは、上にも述べたように、恋敵の一味に捕まった男がマンモスに引きずられるのも面白いです。何より本物の像にマンモスを演じさせていることに笑ってしまいます。この撮影のために象を一頭用意したんですね。

 

戦車競争が光る"古代ローマ時代"

古代ローマ時代は、なんと言っても戦車競争のシーンが見どころです。恋敵が4頭の馬に引かせた立派な戦車で現れるのに対し、男は犬ゾリで現れるという茶番!負傷した犬に替えて、箱からスペアの犬を取り出すという意外性には吹き出してしまいました。馬の目の前にニンジンを吊るすが如く、犬の目の前に猫を吊るす作戦で勝利してしまう様子にまた笑わされます。


この後、男はライオンのいる穴に入れられますが、ここのライオンはさすがに着ぐるみでした。ライオンと仲良くなるという展開にも笑ってしまうのですが、それにしても本作、動物が大活躍しますね。


ところで、戦車競争と言えば、映画ファンなら誰しも『ベン・ハー』を思い出すでしょう。原作の小説が発表されたのが1880年で、1907年に短編映画が製作されています。が、この短編映画の戦車競争のシーンは固定のカメラの前を戦車が何度も駆け抜けていくだけで、戦車競争を描いたとは言い難いので、本作の方がよほど本格的に戦車競争を描いていると言えます。


もちろん、本作の後に公開された1925年版や1959年版の『ベン・ハー』の迫力には全然敵いませんけどね。チャールトン・ヘストンが主演し、アカデミー賞を11部門受賞(未だに歴代最多タイ)した後者が有名ですが、前者もサイレント作品ながらなかなかの迫力なので、未見の方はぜひ。

 

いつものキートンが楽しい"現代"

個人的には、現代のシーンでのいつものキートンが一番安心して見ていられます。"現代"といっても約100年前なので、見ていて少し不思議な感覚になりました。作られた時代が古すぎて、笑いどころを見落としている部分もありそうです。映画全体に言えることですが、何をやってるのか理解できないところもありましたよ、正直。


さて、現代では、キートンのアクロバティックな動作による笑いが特に満載です。適当に注文した料理のカニに驚いて飛び上がる様子なんて傑作です。アメフトのシーンでは、人間離れした動きの連続で、笑いと驚きが止まりませんでした。


クライマックスでは、ビルの屋上からの大ジャンプ、からの落下、からの消防車に乗って"出動"というテンポの良い展開が最高です。


そして、結婚式から花嫁を連れ去る男。このモチーフは、現在では誰もが映画『卒業』を思い出すでしょうが、キートンもやっていたのですね。小説なんかでは案外昔からあるモチーフなのでしょうか?それともキートンのオリジナル?

 

おしゃれなエピローグ

最後には、各時代で無事に女と結ばれた男が家族を連れて家から出てくる様子が描かれ、映画は幕を閉じます。石器時代では10人、古代ローマ時代では5人の子供がゾロゾロ出てくるのが笑いどころですが、現代では、夫婦に付いて出てくるのは犬一匹だけ。画面奥へ仲睦まじく歩いていく夫婦と、それにトコトコと付いていく犬の様子が微笑ましいラストシーン。


最高におしゃれな三段落ちでした。

 

最後に

今回は映画『キートンの恋愛三代記』の解説&感想でした。完成度の高いギャグの密度は後の長編に比べてさほど高くないですが、3つの時代を並列に描く構成も相まって、なかなかに"見れる"作品でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

 

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