どうも、たきじです。
今回は2007年公開のアメリカ映画『最高の人生の見つけ方』の解説&感想です。余命宣告された2人が、死ぬまでにやりたいことをやりきるために旅に出る感動の物語をロブ・ライナー監督が描きます。
作品情報
タイトル:最高の人生の見つけ方
原題 :The Bucket List
製作年 :2007年
製作国 :アメリカ
監督 :ロブ・ライナー
出演 :ジャック・ニコルソン
モーガン・フリーマン
ショーン・ヘイズ
ビヴァリー・トッド
ロブ・モロー
上映時間:97分
解説&感想(ネタバレあり)
前向きな気持ちにさせてくれる感動作
病院の経営者で大富豪のエドワード(ジャック・ニコルソン)と自動車整備士のカーター(モーガン・フリーマン)は、末期癌で入院し、病室で相部屋となります。徐々に親交を深める2人でしたが、やがて共に余命宣告を受け、失意に暮れます。翌朝、エドワードはカーターが作ったバケットリスト(死ぬまでにやりたいことリストの意。「死ぬ」を意味する"kick the bucket"にちなむ)を見つけ、それを実行することを提案します。そして、カーターは妻に反対されながらも、エドワードと共に旅に出るのでした。
このあらすじからも分かるように、本作は"死"をテーマとしながらも、爽やかで前向きな気持ちにさせてくれる感動作です。人生について考えさせられる部分はありますが、どちらかと言えば、深く考えさせる作品というよりは、登場人物の生き様や友情を育む姿を通じて感動を与えてくれる作品です。
この邦題自体は悪くないが…
本作の原題は"The Bucket List"。これをそのまま邦題にしても日本人にはピンと来ないでしょうから、オリジナルの邦題にしたのでしょう。『最高の人生の見つけ方』という邦題は、まあ見当はずれということはなく、悪くはないのではないでしょうか。
問題はその後のロブ・ライナー監督作品の邦題。『最高の人生のはじめ方(原題:The Magic of Belle Isle)』(2012)、『最高の人生のつくり方(原題:And So It Goes)』(2014)。あれ、続編出てたっけ?と思ったら原題も内容も本作とは全然関係ないものでした。これは、本当に気持ち悪い。本作のヒットにあやかろうという魂胆が卑しいですね。
総じてよく書けた脚本
映画冒頭、カーターとエドワードの性格や彼らの置かれた状況、病気の発覚などをそれぞれ1シーンでさらりと描いてみせます。無駄のないすっきりとした脚本を象徴する導入になっていますね。
カーターとエドワードの対比も効いています。妻や息子が見舞いに来て、孫が書いたと思われる絵がたくさん飾られたカーターのベッド。一方、エドワードのベッドに見舞いに来る者はなく、秘書のトーマスが業務的に接するのみ。ベッド脇には無機質なコーヒーのサイフォンが置かれているだけです。
また、序盤はほとんどが2人の病室のシーンで構成されています。狭い病室と陰鬱な病気の描写によって閉塞感が強調して描かれている分、2人が旅を始めてからの開放感が際立っています。こうした対比もうまいですね。
2人が存分に楽しみながら、友情を育み、死と向き合う様子には、ぐいぐい引き込まれていきます。カーターの知的な台詞と、エドワードのひねくれたユーモア溢れる台詞が織りなす小気味良い会話がまた楽しませてくれます。
彼らの旅のシークエンスで特に印象的なのはエジプトのシーン。ピラミッドを眺めながら、カーターは天国の門の話をします。古代エジプトの言い伝えでは、神々から天国の門で二つの問いを出され、答えによっては天国に入れないと言います。すなわち、"人生の喜びを見つけたか?"、"人に喜びを与えたか?"という問いです。
ここでエドワードは娘と疎遠になった経緯を打ち明けます。何度も娘に暴力を振るう彼女の夫に対し、人を雇って娘の前から退けたこと、それによって娘に責められ、絶縁されたこと。そしてエドワードは、例えやり直せても同じことをする、それで天国に入れなくても仕方がない、と言うのです。
エドワードと娘の関係性を描こうとした時に、天国の門のエピソードの中でエドワードに語らせるという脚本のセンスには脱帽しました。
伏線の効いた終盤の感動
帰国した時点でリストに残った4つの項目が実行されるシーンでは、いちいち感動させられます。いずれもここまでに映画で描いてきたエピソードが、伏線としてしっかり効いての感動です。
- コーヒー豆"コピ・ルアク"のエピソードで笑い転げる2人(「泣くほど笑い転げる」)
- 娘と再会、孫娘と初対面しキスをするエドワード(「世界一の美女にキスをする」)
- カーターの葬式でスピーチし、彼のおかげで最高の3ヶ月を過ごせたことを涙ながらに語るエドワード(「赤の他人を救う」)
- 遺灰となってエベレストに仲良く並べられる2人(「荘厳な景色を見る」)
中盤の旅を通じて実行された項目は、金に物を言わせて実行されたものでした。しかし、最後の4項目は、ある意味で心によって実行されたものというのがまたいいのです。(エベレストに登るには大金がかかりますが、もちろんここで言いたいのはそういうことではないです)
ラストシーンは、少しひねりも効いていましたね。本作のオープニングは、このエベレストのシーンから始まりますが、ここでは誰だかわからない(顔の隠れた)登山者の姿にカーターのモノローグが被せられています。劇中でエベレストにこだわっていたのはカーターであることも含めて、この登山者はカーターだとミスリードされています。
しかし、カーターはエドワードより先に亡くなってしまいます。てことは、登山者はエドワード?と思いきや、エドワードも亡くなっていて、登山者はトーマスだったというひねりの効いたオチですね(まあ、末期癌の老人がエベレスト登山できるわけがないのですけどね)。死者ということを伏せて死者がモノローグで語るというのは、禁じ手のような気がしないでもないですが、まあいいか。
それにしても、亡くなった2人のためにエベレスト登山までするとは、トーマス結構いい奴やな…
最後に
今回は映画『最高の人生の見つけ方』の解説&感想でした。
文字にして記してはいないとしても、誰しもバケットリストを心に秘めているのではないでしょうか。前向きに死に向き合っていくためにも、バケットリストの項目を日々実行していくように、人生を大切に過ごしたいものですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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