どうも、たきじです。
今回は1986年公開のアメリカ映画『スタンド・バイ・ミー』の解説&感想です。
作品情報
タイトル:スタンド・バイ・ミー
原題 :Stand by Me
製作年 :1986年
製作国 :アメリカ
監督 :ロブ・ライナー
出演 :ウィル・ウィートン
リヴァー・フェニックス
コリー・フェルドマン
ジェリー・オコンネル
キーファー・サザーランド
上映時間:89分
あらすじ
アメリカの田舎町キャッスルロックに暮らす少年4人は、ブルーベリー摘みに出かけたまま消息を立った少年の死体が遠方の線路脇にあるという情報を耳にします。行方不明の少年の死体を発見し、テレビや新聞に出てヒーローになることを目論み、彼らは冒険に出かけていきます。
スティーヴン・キングによる原作小説の原題は"The Body"(死体)。
舞台となる町キャッスルロックはしばしばスティーヴン・キングの小説の舞台となる架空の町です。
解説&感想(ネタバレあり)
少年の苦悩と成長
予告編でも取り上げられているように、汽車のシーンやヒルのシーンはとても印象的で、本作は少年達の2日間の冒険の思い出を描いたノスタルジックな作品というイメージを持たれがちです。それはそれで間違っていませんが、本作は、少年達が抱える子供なりの苦悩と、彼らがそれを乗り越えて行く様をしっかりと描いたドラマであることも忘れてはなりません。
4人の少年の中でも、中心となるのはゴーディ(ウィル・ウィートン)とクリス(リヴァー・フェニックス)。
ゴーディは自分の良き理解者であった兄を事故で失っており、失意に暮れる両親から、自分は愛されていないと感じて苦悩しています。クリスは家庭の問題による周りからの偏見に苦悩しています。本作は、冒険を通じた2人の会話を通して、そうした2人の内面を繊細に描き出しています。
ゴーディとクリスの友情
特に素晴らしいのは、彼らが森の中で眠る際に交代で見張りをするシーンでしょう。父から「お前が死ねば良かった」と言われる悪夢で目覚めたゴーディは見張りのクリスと話します。
兄の葬式では泣かなかったが、本当は寂しいと打ち明けるゴーディ。クリスもまた、家族の素行の悪さから、ろくでなし一家の子供の1人と見られること、そして、信頼すべき教師に自分を私利私欲のために利用された苦しみを吐露し涙します。「誰も俺のことを知らない場所に行きたい」というクリスの言葉は響きます。
このシーンは、真夜中の2人だけの時間という場面設定も効いていて、2人が抱える問題の大きさと、励まし合う2人の友情が際立つ素晴らしいシーンになっています。
また、探していた少年の死体を発見した際にも、ゴーディは少年の不幸な死に兄を重ねます。
「なぜ兄さんが死ななきゃなんないの?僕が死んだ方が…」
このシーンもそうですが、クリスは常にゴーディの気持ちを察し、時にはその才能を讃え、時には「父親はお前を理解していないだけで嫌ってなんかいない」と励まします。ゴーディもまた、クリスの頭の良さを理解し、進学コースに進むことを勧めます。この街から抜け出せないことを心配するクリスに、君なら何だってできると励まします。
「たった2日の旅だったが、なぜか街が違って見えた。小さく感じられた」
成長したゴーディがそう回想するように、彼らはこの冒険を通じて大きくなったことでしょう。ゴーディとクリスが、互いを認め合い、励まし合った結果が、ゴーディは作家になり、クリスは進学して弁護士になるという将来へと繋がっています。
4月に新学期が始まる日本とは異なり、アメリカは9月から。彼らの冒険は、ちょうど彼らが中学に上がる前の夏の出来事であり、将来を考える節目でもあるのです。
このように、本作は単なる冒険物語ではなく、冒険を通してゴーディとクリスが友情によって問題を乗り越えていくドラマでもあるのです。冒頭にも触れたように、本作はノスタルジックな作品として語られることが多い作品です。子供時代に彼らのような冒険を経験した人は少ないと思われますが、それでも多くの人が本作にノスタルジーを感じるのは、彼らと同じように、子供なりに苦悩を抱えたり、それを友と支え合って乗り越えたりした経験が少年少女時代の記憶として残っているからではないでしょうか。
ラストシーンの余韻
ラストシーン、作家となった語り手のゴーディが、最後にパソコンに打ち出した「あの頃のような友達は二度と出来ない」という言葉は感傷的ですが、その一方で子供たちと楽しそうに出かけていく様子にほっとさせられます。
そして、エンディングのベン・E・キングの名曲"Stand By Me"が、素晴らしい余韻を残してくれるのでした(なお、本作と同タイトルのこの曲は、本作のために書かれたものではなく、1961年にリリースされた既存の曲です)。
リヴァー・フェニックスの輝き
さて、本作の子供達4人は、それぞれが個性的でキャラが立っていますが、中でも際立って魅力を放っているのはクリスでしょう。4人のリーダー的存在で皆を引っ張るだけでなく、ゴーディのことを常に思いやり、気持ちを理解して行動する優秀な少年です。
演じるのはリヴァー・フェニックス。『ジョーカー』でアカデミー主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスのお兄さんです。本作で注目を集めた後、『旅立ちの時』や『マイ・プライベート・アイダホ』では数々の映画賞にノミネートされ、いくつかは受賞するなど、ルックスの良さのみならず演技力も評価されています。
しかし、薬物の過剰摂取が原因で倒れ、23歳の若さで急逝。人気絶頂の中で世を去った彼の存在は伝説となっています。
本作は、短くも強烈な輝きを放った彼の人生の1ページを収めたものとしても貴重な作品と言えるでしょう。
最後に
今回は映画『スタンド・バイ・ミー』の解説&感想でした。単なるノスタルジックな冒険物語に終わらず、少年達が抱える子供なりの苦悩と成長、そして友情を描いた素晴らしいドラマです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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