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映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』解説&感想 3作かけて描かれたMCU版スパイダーマンのオリジン

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どうも、たきじです。

 

今回は2021年公開のアメリカ映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の解説&感想です。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)版スパイダーマン・シリーズとしては『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に続く第3作、MCU作品としては『エターナルズ』に続く第27作にあたります。

 

 

↓ 前作の解説&感想はこちら

↓ MCU前作の解説&感想はこちら

 

作品情報

タイトル:スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

原題  :Spider-Man: No Way Home

製作年 :2021年

製作国 :アメリカ

監督  :ジョン・ワッツ

出演  :トム・ホランド
     ゼンデイヤ
     ベネディクト・カンバーバッチ
     ジェイコブ・バタロン
     ジョン・ファヴロー
     ジェイミー・フォックス
     ウィレム・デフォー
     アルフレッド・モリーナ
     トーマス・ヘイデン・チャーチ
     リス・エヴァンス
     ベネディクト・ウォン
     トニー・レヴォロリ
     マリサ・トメイ
     J・K・シモンズ
     アンドリュー・ガーフィールド
     トビー・マグワイア

上映時間:148分

 

解説&感想(ネタバレあり)

マルチバースを題材としたお祭り映画

本作はMCU作品の中でも『アベンジャーズ/エンドゲーム』と一二を争うくらいに好きな作品です。本作の魅力は大きく2つ。サム・ライミ監督の『スパイダーマン』 3部作と、マーク・ウェブ監督の『アメイジング・スパイダーマン』シリーズという旧シリーズのキャラクターたちが登場する"お祭り映画"であること。そして、『スパイダーマン:ホームカミング』に始まるMCU版スパイダーマンシリーズの3作目にして、このシリーズにおけるスパイダーマンのオリジン・ストーリーとなっていることです。


前作のミッドクレジット・シーンで、悪者に仕立て上げられた上に、全世界に正体を知られてしまったスパイダーマン。本作は、この衝撃的なシーンから始まります。スパイダーマンが罪人であると大騒動となりますが、この騒動はひとまず落ち着きます(スパイダーマンを敵視する人々はいるものの、不起訴で済んだ)。しかし、その影響で恋人のMJや親友のネッドと共にMITに進学する夢が阻まれるなど、日常生活に大きな支障をきたします。


ピーターは、この問題に対処するため、ドクター・ストレンジの魔術によって、スパイダーマンの正体を人々の記憶から消してもらおうとします。しかし、これをきっかけとしてマルチバースの扉を開いてしまい、別の世界からヴィランたちを引き寄せてしまいます。


マルチバースを題材としたスパイダーマン作品としては、本作より前に『スパイダーマン:スパイダーバース』に始まるアニメ映画のシリーズがあります。同シリーズも素晴らしい脚本によってとても面白い作品になっていますが、それは本作も同様。コミックス、アニメ、実写など様々なシリーズが製作されてきたスパイダーマンは、マルチバースという設定との相性が抜群です。

 


スパイダーマンたちの共闘

旧シリーズのヴィランたちを引き寄せてしまい、MCU版のピーターが彼らと戦うという展開はワクワクしますし、さらには旧シリーズのスパイダーマンとも共闘するという展開は胸が熱くなります。


3人のスパイダーマンが語り合ういくつかのシーンはファンには嬉しいところです。トビー・マグワイアのスパイダーマンだけ、糸をを体内から直接出せることをイジるシーンとか、同スパイダーマンが「腰が(痛い)」というシーン(マグワイアは『スパイダーマン2』の際に腰痛がひどく、降板の話も挙がった)とか、過去一ヤバかったヴィランについて話すシーンとか、旧シリーズのファンにはたまりません。マグワイアがアンドリュー・ガーフィールドのスパイダーマンに対して「君はアメイジングだ」と言うのも好きですね。ヴィラン含め、旧シリーズと同じキャスティングが実現したからこその楽しさです。


こうしたお祭り映画的側面が新旧のファンを楽しませてくれるわけですが、単なるファンサービスに終わらないところが本作の素晴らしいところ。本作が描くべき本質的部分に、旧シリーズのスパイダーマンたちがしっかりと絡んでいきます。

 


旧シリーズと融合したシリアスな物語

本作で、ピーターはメイおばさんを失うという悲劇に直面します。その直前、メイおばさんは言います。「大いなる力には、大いなる責任が伴う」。このフレーズは旧シリーズでも繰り返し用いられてきた、スパイダーマンのテーマとも言える台詞です。


世間にも再び悪者にされ、心折れたピーター。それを励ますのは、自身も同じ経験をしてきた別の世界の2人のスパイダーマンでした。目の前で、ベンおじさんを失ったこと。恋人のグウェンを救えなかったこと。それぞれが苦しみを経験し、それを乗り越えようともがいてきました。そして、上述のメイおばさんの言葉も、2人のスパイダーマンはベンおじさんから聞いています。


この一連のシークエンスでは、ピーターの感情にフォーカスし、これまでにないシリアスな場面になっています。前二作では、ポップで軽快な作風で、MCU独自のスパイダーマンを築き上げていましたが、ここにきて旧シリーズと融合するかのごとく、シリアスな物語に転換しています。

 


私たちの知るスパイダーマンの誕生

私は、本作の素晴らしいのはエピローグだと思っています。マルチバースの混乱を収束させるため、ピーターは自分の存在を世界中の人々の記憶から消すことを選択します。その結果、MJもネッドを含む全ての人々から忘れられるという、なんとも切ない展開を迎えます。


2人に自分のことを思い出させると約束していたピーターですが、穏やかに暮らす2人を前にして決意を翻します。「期待しなければ失望もしない」が口癖だったMJですが、MITへの進学を前に、今回はいつもと違うと感じています。希望を抱いて前へ進もうとしているMJの姿。そして、MJの額の絆創膏が象徴するのは、自分のそばにいることでMJが傷つくことへの畏怖。それらがピーターを踏みとどまらせたのでしょう。このシーンは、トム・ホランドの繊細な演技が観るものの心を揺さぶります。


そしてピーターは、新しいスパイダーマンのスーツで人々を助けに向かいます。ピーターの部屋にはミシン。新しい自作のスーツがピーターの自立を象徴します。このスーツのデザインが、赤と青の明るい色彩で、コミックスのスパイダーマンのイメージに近いカラーリングなのがまたいいですね。


私は、この一連のエピローグが本作の価値をぐっと高めているといっても過言ではないと思います。ヒーローの孤独を背負い、親愛なる隣人として人々を守る、この姿こそスパイダーマン。MCU版の3作目にして、遂に私たちの知るスパイダーマンが誕生したということです。見方を変えれば、3作品かけてスパイダーマンのオリジンを描いたとも言えるかもしれません。


私は前2作の作風も、それはそれで嫌いではありません。一方で、皮肉にもその作風を抑えたことで作品に締まりが出て、質が高まったのも事実でしょう。お祭り映画と見せかけて、実はとんでもなく質の高い映画でした。

 


2人のスパイダーマンにとっての癒し

また、忘れてはならないのは、別世界の2人のスパイダーマンにとって、この戦いが癒やしにつながっていること。


一つは、落下するMJをガーフィールドのスパイダーマンが助けるシーン。『アメイジング・スパイダーマン2』で高所から落下したグウェンを助けられなかった過去を抱えた彼が、同じようなシチュエーションで無事にヒロインをキャッチできたことは大きな意味を持ちます。涙ぐむガーフィールドの表情に、こちらも涙ぐんでしまいました。


もう一つはマグワイアのスパイダーマンがノーマンを助けるシーン。『スパイダーマン』のノーマン・オズボーンは、本来は悪人ではないはずが、不運によってグリーン・ゴブリンになってしまいました。マグワイアのスパイダーマンにとって、親友の父親でもあるノーマンの命を救えなかったことは、心残りだったはず。それ故に、彼は体を張って復讐心に駆られるホランドのスパイダーマンを制止するのです。


おそらく、これによってマグワイアのスパイダーマンがいた世界のノーマンが生き返ることはなくて、ノーマンが死なない新たな世界線が生まれたに過ぎないのだとは思いますが、それでも、このノーマンを助けられたことは彼にとって癒やしにつながったはずです。


このように、これらのシーンは、旧シリーズからのファンにとって、胸が熱くなるシーンになっています。

 


"No Way Home"に込められた意味

本作の副題は「No Way Home」。直訳すると「家に帰る道がない」。つまり、「家に帰れない」とか「元に戻れない」みたいなニュアンスですが、物語の中で様々な解釈が可能です。

 

  • ピーターは、取材に追われ家を出ることを余儀なくされ、家に帰れない。
  • ピーターは全世界にスパイダーマンであることを知られ、元の生活には戻れない。
  • 別のバースから来たヴィランたちは元の世界に帰れない。
  • ピーターは、メイおばさんを失ったり、MJやネッドを含む全ての人から忘れられ、元には戻れない。


多面的な意味を持つ、実に上手い副題だと思いませんか?

 

最後に

今回は映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の解説&感想でした。

お祭り映画としての楽しさはもちろん、過去のシリーズと見事に融合してシリアスさを増した物語は見応え十分。何より、私たちの知るスパイダーマンの誕生を描いたオリジン・ストーリーとして素晴らしい作品でした。


そういえば、本作のミッドクレジットシーンでは、トム・ハーディが演じるエディ・ブロック(ヴェノム)が登場し、シンビオートを残していきます。今後、MCUのスパイダーマンにヴェノムが登場するのか、期待が高まるところですね。


また、MCUに比べていまいち人気の出ない印象のソニーズ・スパイダーマン・ユニバースに興味を持つ人が増えるきっかけになりそうなシーンでした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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