どうも、たきじです。
今回は2017年公開のアメリカ映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の解説&感想です。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)版スパイダーマン・シリーズとしては『スパイダーマン:ホームカミング』に続く第2作、MCU作品としては『アベンジャーズ/エンドゲーム』に続く第23作にあたります。
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作品情報
タイトル:スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
原題 :Spider-Man: Far From Home
製作年 :2019年
製作国 :アメリカ
監督 :ジョン・ワッツ
出演 :トム・ホランド
サミュエル・L・ジャクソン
ゼンデイヤ
コビー・スマルダーズ
ジョン・ファヴロー
ジェイコブ・バタロン
アンガーリー・ライス
トニー・レヴォロリ
マーティン・スター
J・B・スムーヴ
ヌーマン・アチャル
マリサ・トメイ
ジェイク・ジレンホール
上映時間:129分
解説&感想(ネタバレあり)
※『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレを含みます。
『エンドゲーム』後の世界で活躍するスパイダーマン
『アベンジャーズ/エンドゲーム』で大きな区切りを迎えたMCU作品ですが、本作はそれに続く最初の作品です。
冒頭、サノスにより全宇宙の生命の半分が消滅した瞬間や、その5年後にアベンジャーズによって消滅した生命が復活する瞬間が、市民の視点から語られるのが興味深いですね。5年間消滅していた人と、消滅していなかった人とで5歳の年齢差が生まれているというのも面白いところ。ピーターたちティーンにとっては特に影響が大きいですからね。
また、この世界にはアイアンマンやキャプテン・アメリカ(初代)がいないと思うと少し寂しくなります。その分、終盤でトニー(アイアンマン)の親友のハッピーが「音楽は任せろ」と、アイアンマンを象徴するAC/DCの「Back In Black」をかけるシーンは熱くなります。この曲はMCUの第1作『アイアンマン』のオープニングを飾る曲でもありますしね。ピーターの「ツェッペリン最高!」(別のバンド「レッド・ツェッペリン」と勘違い)にも思わず笑ってしまいます。
また、本作はMCU作品としてスタン・リー(スパイダーマンなど数々のマーベル・ヒーローの生みの親)がカメオ出演していない最初の作品でもあります(本作公開前年の2018年に死去)。いつもどこかで顔を見せてくれていたので、これも寂しいですね。
さて、「Friendly Neighborhood(親愛なる隣人)」として、ニューヨークのヒーローとして描かれることの多いスパイダーマンですが、本作ではアメリカを飛び出し、世界のヒーローとして活躍しています。もっとも、前作でもアメリカ国内ではあるものの、ニューヨークを飛び出してワシントンD.C.で活躍しましたし、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』では宇宙を救うために活躍しています。MCU作品の中に入ると、スパイダーマンの立ち位置がいまいち定まらない部分がありますが、これもこのシリーズの独自性として楽しめばいいところでしょう。
青春要素を増したポップで軽快な作風
過去のスパイダーマン・シリーズとは違い、前作はポップで軽快な作風でした。本作でもそうした作風はそのままに、より青春要素を増し、ティーンのラブコメのような印象です。前作に続いてラモーンズの曲が使われていますが、本作での「I Wanna Be Your Boyfriend」という選曲がまた作品の色と合っていて絶妙です(加えて言えば、この曲はラモーンズの2ndシングルで、前作の「Blitzkrieg Bop」は1stシングル)。
前作ではちょっと風変わりな少女という印象だったMJが、本作ではすっかりヒロインの顔をしています。MJに恋するピーターのドタバタが楽しく、特にすべてが裏目に出る飛行機のシークエンスは随分笑わされました。
全編通して、前作以上に笑えるシーンは多かったですね。ネッドとベティが都合よく付き合うことになったのは苦笑いでしたが、付き合っている時の2人のやり取りには随分と笑わされました。言葉が被っちゃうところなんて吹き出してしまいましたよ(笑)。ピーターにはきつくあたるフラッシュがスパイダーマンのことが大好きというのも面白いですね。
何より笑ったのはニック・フューリーがホテルの部屋に現れるシーン。シリアスに語るフューリーでしたが、ネッドのいびきや、先生の訪問などで何度も何度も話の中断を余儀なくされます。フューリーが喋っている時だけ流れる不穏なメロディがまた可笑しくて(笑)。フューリーをこんなネタキャラみたいに扱うのは初めてじゃないでしょうか(実は偽者ではありますが)。
ジェイク・ギレンホール演じるヴィラン
さて、前作の記事でも触れましたが、前作はポップで軽快な作風である分、「大いなる力には大いなる責任が伴う」というテーマは薄めでした。本作はプライベートが犠牲になるヒーローの宿命のようなところが描かれていますが、ミステリオに悩みを打ち明けるシーンなんか、随分と取ってつけた感があって浅い印象でした。
なんて思って見ていたら、ミステリオが偽物のヒーローだったということで納得。浅いシーンに見えるのも必然だったということですね。ミステリオの衣装デザインがいかにも漫画っぽくて浮いてるのも納得感があります。「マヌケな衣装を脱がせてくれ」なんて言ってますし(笑)。
名のある俳優が悪役を演じることが少なくないMCU作品ですが、本作ではミステリオ役でジェイク・ギレンホールが登場。あまり悪役のイメージはありませんでしたが、憎たらしい悪役になかなかハマっていました。
ギレンホールと言えば、サム・ライミ監督の『スパイダーマン2』で腰痛がひどかったトビー・マグワイアの代役としてスパイダーマンを演じるという話もありました。結局、その際はマグワイアが演じわけですが、今回MCU版の"スパイダーマン2"でスパイダーマンの敵を演じるというのは、運命的なキャスティングですね。
ロンドンを舞台に躍動
前作に続いて、アクションシーンは軽快に仕上がっています。本作でもスタークのハイテクを活用した楽しいアクションを見せてくれます。
クライマックスではロンドンを舞台にミステリオとの対決。多数のドローンとの戦いが描かれますが、ドローン目線のカメラが印象的でした。
ロンドン塔やタワーブリッジも舞台となっていていますね。フラッシュがタワーブリッジを「ロンドン橋」と間違えてたというのはあるあるネタですね。スパイダーマンが「TOWER BRIDGE」と書かれた橋名板を盾代わりにして戦うシーンまであって、この橋が「ロンドン橋」ではないことを世界に知らしめています(笑)。
タワーブリッジ(2019年11月撮影)
次作への期待を高めるクリフハンガー
さて、本作はミッドクレジットシーンがとてもいいですね。命を落とす直前のミステリオが残した動画により、スパイダーマンが悪者に仕立て上げられ、さらにはスパイダーマンの正体がピーターであることが世界に暴露されてしまいます。次作への期待を高める、最高のクリフハンガーです。
しかも上記の動画を公開するJ・ジョナ・ジェイムソンを演じるのは、サム・ライミ版のスパイダーマン3部作で同キャラクターを演じたJ・K・シモンズ。ライミ版が大好きな私としてもうれしい再演でした。
最後に
今回は映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の解説&感想でした。前作のポップで軽快な作風はそのままに、青春要素を増した第2作。アクションシーンももちろん楽しませてくれますし、何より次作への期待を高める結末が秀逸でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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