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映画『セッション』解説&感想 暴力的なスリルを感じる音楽映画

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どうも、たきじです。

 

今回は映画『セッション』の解説&感想です。

 

ラ・ラ・ランド』、『ファースト・マン』のデイミアン・チャゼル監督の出世作。脚本も務めたチャゼル監督は、高校時代にジャズバンドに所属しており、その時の経験が脚本に反映されていると言います。

 

厳しい指導者フレッチャーを演じたJ・K・シモンズが、アカデミー賞を始めとする数々の映画賞で助演男優賞に輝いています。

 

作品情報

タイトル:セッション

原題  :Whiplash

製作年 :2014年

製作国 :アメリカ

監督  :デイミアン・チャゼル

出演  :マイルズ・テラー

     J・K・シモンズ

     ポール・ライザー

     メリッサ・ブノワ

 上映時間:106分

 

解説&感想(ネタバレあり)

ストーリーは驚くほど単線。主役はニーマン(マイルズ・テラー)。相手はフレッチャー(J・K・シモンズ)。この2人の関係が軸です。父親や彼女とのエピソードが少々ありますが、それらが大して掘り下げられることはありません。バンドメンバーとの関係など、ほとんど描かれていません。ニーマンとフレッチャー、映画はこの2人にのみフォーカスします。


フレッチャーの行き過ぎた指導に耐えながら、ドラムを叩くニーマン。バンドはもちろんスポーツではありませんが、本作はスポ根と呼んでもまったく違和感のない映画です。


言うまでもなくJ・K・シモンズは素晴らしいです。彼はファースト・シーンからものすごい緊張感を醸し出します。休憩中に優しげに話しかけてきて、ニーマンの家族のことを聞いてきたかと思えば、練習ではそれをネタに煽るなんて、もはや鬼畜の所業。精神的に追い詰めていく彼の指導は、見ていてぞっとします。


やがてニーマンは追い詰められてフレッチャーに殴りかかり退学。フレッチャーはその行き過ぎた指導がニーマンに密告され指導者の座を追われます。


時を経て再開した2人は和解したかに見え、ジャズ・フェスでの演奏に臨みますが、それはフレッチャーのニーマンに対する復讐。ニーマンは大舞台で準備していない曲を演奏することになり恥をかかされます。


一度はステージを立ち去ったニーマンが引き返して再び演奏に挑むクライマックスは、淡々と、それでいて深く深く観客の心を揺さぶります。


私怨のぶつかり合いが極まるステージ。これは音楽なのか?もはや2人の戦闘に見えます。音楽映画で、こんな暴力的とも言えるスリルが味わえるなんて。


指揮を務めるフレッチャーから主導権を奪うニーマン。渋々指揮を合わせるフレッチャー。


ニーマンの激しいドラムソロ。


歩み寄るフレッチャー。


私怨はもはや姿を隠し、


2人だけのセッション。


圧倒的。

 

 

最後に

今回は映画『セッション』の解説&感想でした。とにかくクライマックスの興奮は凄まじいものがあります。音楽映画であることを忘れてしまうほどのスリルでした。


ちなみに原題の"Whiplush"とはムチで打つこと。作中で演奏される曲名でもありますし、ムチ打ち症の意味もあります。まさに本作のタイトルに相応しいものですが、これをそのまま邦題にしてもなかなか伝わりにくいです。


そこで本作では違う切り口で"セッション"と付けられています。原題とは違う意味の邦題を付けると、イマイチなことが多いですが、個人的にはこの邦題はなかなか本作にハマっていると思います。

 

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