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映画『人生スイッチ』解説&感想 怒りと復讐を描く6つの短編

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どうも、たきじです。

 

今回は2014年公開のアルゼンチン・スペイン合作映画『人生スイッチ』の解説&感想です。アカデミー賞で外国語映画賞にノミネートされた作品です。

 

 

作品情報

タイトル:人生スイッチ

原題  :Relatos salvajes

製作年 :2014年

製作国 :アルゼンチン、スペイン

監督  :ダミアン・ジフロン

出演  :リカルド・ダリン
     オスカル・マルティネス
     レオナルド・スバラーリャ
     エリカ・リバス
     リタ・コルテセ
     フリエタ・ジルベルベルグ
     ダリオ・グランディネッティ

上映時間:122分

 

解説&感想(ネタバレあり)

『人生スイッチ』はアルゼンチン発(スペインとの合作)のブラックコメディで、6つの短編で構成されたオムニバス映画です。アカデミー外国語映画賞にもノミネートされるなど、世界的に評価された作品です。 6つの短編のすべてにおいて、アルゼンチン人のダミアン・ジフロンが監督・脚本を務めています。

 

原題は「Relatos salvajes」。英語では「Wild Tales」。つまり「野生的な物語」という意味です。6つの短編に共通するのは、怒りや復讐というテーマであり、このタイトルは、非理性的な人間の感情や行動を象徴するものでしょう。邦題の「人生スイッチ」というのは正直よく分かりません(笑)。「人生を変えてしまうような怒りのスイッチ」みたいなニュアンスですかね。少し捻り過ぎな気がします。

 

作品を通じて描かれるのは、現代社会の不条理やストレスフルな人間関係、それらに追い詰められる人々の姿です。本作は、そうした要素を風刺すると共に、ブラックユーモアを交えて軽快にまとめられています。全体的に退屈することなく楽しめるものの、それぞれの短編に、思わず唸るようなストーリー展開や演出はあまり多くなく、物足りなさの方が大きかったです。

 

多くの短編が、あまりに極端な展開が目立つのは、好き嫌いが分かれるところでしょう。個人的には乗りづらかったですね。その点で、比較的現実味のある「愚息」が一番楽しめました。

 

 

以下、各短編の感想を簡単にまとめます。

以下、ネタバレあり

(1)おかえし

飛行機に乗ったモデルの女性。隣の席には偶然にも彼女の元彼のことを知っている音楽評論家の男性。さらには前席の女性も、やがては乗客皆が元彼のことを知っていることが明らかになり…。

 

ちょっと不思議なストーリー設定が興味を引く一方、ストーリー展開には大きな捻りはありません。一応、飛行機が元彼の両親の家と見られる場所に墜落するオチは、なるほどという感じはありますが、そこまでのカタルシスはありませんでした。

 

(2)おもてなし

レストランで働く若い女性。ある日、店に訪れた男は、自身の家族を崩壊させたヤクザ者。それを聞いた料理人の女は、男の料理に毒を混ぜることを提案し…。

 

サスペンスフルな物語ではありますが、やや物足りません。もっとサスペンスを畳み掛けて欲しかったところです。男に恨みはありつつも決断しきれない女性をよそに、遠慮なくやりたい放題のおばちゃん料理人は面白いです。この短編に限っては、「極端な展開」がうまく面白さに繋がっている印象。

 

(3)パンク

人通りの少ない砂漠のハイウェイ。高級車に乗った男は、古びた車を追い抜こうとしますが、その車が道を遮ります。怒った男は、車の男に罵声を浴びせて走り去りますが、その先で車がパンクし、車に追いつかれてしまい…。

 

これこそ「極端な展開」の典型で、あまり乗れず。暴力へのハードルが異様に低い2人に感情移入できず、どんな気持ちで見ればいいのか最後まで定まりません。爆発で仲良くあの世へ行ってしまうオチは好き。

 

(4)ヒーローになるために

爆破解体職人の男性は、娘のバースデーケーキの購入のために立ち寄った店で、車がレッカーされてしまいます。レッカー代の請求、家族からの非難、陸運局の心無い対応。耐えかねた男性は、陸運局の窓口で大暴れし…。

 

男の不遇の畳み掛け、フラストレーションをしっかり描いていて見入ってしまいます。また、復讐をテーマとした短編たちの中で唯一といっていいスッキリした結末になっています。ただ、もう一展開求めてしまったのも正直なところ。短編だからこそ内容を濃くしてほしいところが、短編だから尻切れな印象を受けてしまいました。

 

(5)愚息

息子が妊婦をひき逃げしてしまい、対応に追われる富豪の父親と顧問弁護士。捜査が迫り焦る父親。やがて2人は、大金と引き換えに息子の身代わりとなってくれないかと使用人の男性に持ちかけ…。

 

身代わりがバレてしまうのではないかというスリル。それがやがて少しでも富豪から金をせびろうとする弁護士、使用人、検察官によるコミカルな価格交渉の駆け引きに展開し、非常に面白いです。あっけない幕切れも笑ってしまいます。富豪の男性にしてみれば、ある意味理想的な決着になっているのも面白いところです。

 

上述の通り、極端な展開の多い短編の中にあって、この短編は比較的現実味があるというか、通常の映画の演出の範囲でしっかり面白く作られた作品でした。

 

(6)Happy Wedding

幸せな結婚披露宴の最中、新郎の浮気が発覚。会場を飛び出し、悲しみに暮れる新婦でしたが、慰めてくれたコックとその場で浮気。新郎へのさらなる復讐を誓い…。

 

新郎新婦が繰り広げる泥仕合は、見ていて楽しいものではなく、どちらかと言えば不快(笑)。他に比べて実際に上映時間が長いのかもしれませんが、随分と間延びして感じられました。

 

最後に

今回は映画『人生スイッチ』の解説&感想でした。全体的に退屈することなく楽しめるものの、それぞれの短編に、思わず唸るようなストーリー展開や演出はあまり多くなく、物足りなさの方が大きい作品でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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