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映画『オッペンハイマー』感想 クリストファー・ノーランによる骨太な伝記映画

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どうも、たきじです。

 

今回は2023年公開のアメリカ映画『オッペンハイマー』の感想です。

 

 

作品情報

タイトル:オッペンハイマー

原題  :Oppenheimer

製作年 :2023年

製作国 :アメリカ

監督  :クリストファー・ノーラン

出演  :キリアン・マーフィー
     エミリー・ブラント
     マット・デイモン
     ロバート・ダウニー・Jr.
     フローレンス・ピュー
     ジョシュ・ハートネット
     ケイシー・アフレック
     ラミ・マレック
     ケネス・ブラナー

上映時間:180分

 

感想(ややネタバレあり)

複雑な時系列

原爆の開発を主導し「原爆の父」と呼ばれる一方、戦後は水爆開発に反対し、核軍縮を主張。赤狩りの時代にソ連のスパイ疑惑がかけられ、公職を追われる——。本作は、そんなロバート・オッペンハイマーの複雑な人間性を描く骨太な伝記映画です。


本作では、オッペンハイマーの公職追放に至った原子力委員会による聴聞会(1954年)と、オッペンハイマーの追放に裏で糸を引いていたルイス・ストローズの商務長官就任をめぐる公聴会(1959年)という、異なる年代の出来事が同時に描かれます(前者はカラー、後者はモノクロ)。そして、前者のシーンで回想される形で、学生時代から戦中戦後に至るオッペンハイマーの半生が挿入されるという構成になっています。


オッペンハイマーの聴聞会を軸に、回想シーンとしてその半生を振り返る、というのはよくある構成でしょうが、そこに別の時代の話が並行して描かれ、さらにはそちらでも回想的なシーンが入るものですから、時系列はかなり複雑です。


それによって物語がでたらめになるわけではなく、しっかり映画になっているわけですから、もはやクリストファー・ノーラン監督は時系列を操る魔術師のよう。


時間をどんどん遡る形で物語を描いた『メメント』も、複数階層の時間軸(夢)を同時に描いた『インセプション』も、順行する時間と逆行する時間を同時に描いた『TENET テネット』も極めて実験的なサスペンス映画、SF映画でした。そうした"実験"を通じて彼が導き出した"理論"が、本作のようなドラマ映画でもしっかり実を結んでいるのが感じ取れます。


この入り乱れた時系列のどこがどのように作用してどんな効果を生んだか、一度観ただけで具体的に指摘できるほど、私の脳の処理能力は高くありません。しかし、少なくともラストシーンであの会話を持ってきたのは痺れましたね。

 

オッペンハイマーの苦悩

トリニティ実験のスペクタクルを一つの区切りとして、映画終盤は原爆を生み出したことに対するオッペンハイマーの良心の呵責が物語の軸となります。


トルーマン大統領が言うように、被害者が恨むのは原爆を作った者ではなく落とした者かもしれません。ただ、そうは言っても、それを為政者に届けたのは科学者。人類に神々の火を与え、拷問を受けたプロメテウスと同じ。苦悩するのは当然ですし、そこから逃れられるものではありません。映画終盤は、オッペンハイマーの科学者としての複雑な立場が丁寧に描かれていました。

 

原爆被害の描写の要否

さて、本作は原爆による被害を直接的に描いていないことに引っ掛かる人も少なくないようですね。


本作は、オッペンハイマーの伝記映画であり、彼の主観で描かれる映画ですから、作品としてはそのような描写は必ずしも必要ではないでしょう。原爆の威力やそれによる被害は、台詞では様々言及されているように当然オッペンハイマーは認識していますし、被害の様子が映されたスライドから彼は目を背けていますからね。


映像として直接描かれていないことをもって、本作の作品としての価値が落ちることは全くないと思います。原爆の悲惨さを描くのであれば、それは被害者の立場を描いた別の映画でやればいいことです。


ただ、本作は世界中の人の注目を浴びた作品です。その中で、それが描かれていたら良かったな、という思いも抱いてしまいますね。作品として必要ということでなく、一日本人の願望として。

 

素晴らしい俳優陣

俳優陣の演技は総じて素晴らしいです。


特別な才能を持ち、内省的で、繊細な主人公オッペンハイマーを見事に演じ切ったのはキリアン・マーフィー。ノーラン作品の常連で、『バットマン ビギンズ』のヴィラン、スケアクロウを始め、『インセプション』、『ダンケルク』と助演として存在感を示してきた彼が、ここにきてアカデミー主演男優賞というのは感慨深いものがありますね。


ストローズを演じたロバート・ダウニー・Jrはアカデミー助演男優賞を受賞。こちらもいい演技であることは間違いないですが、個人的には大絶賛するほどではなく、やや無難な印象も受けました。まあ、アカデミー会員が好きそうな役柄(老けメイクを含め)というのは感じましたが。


オッペンハイマーの妻を演じたエミリー・ブラントは受賞には至らずもアカデミー助演女優賞ノミネート。演技派の彼女ですが、ここでも安定の演技でした。


その他、過去のノーラン作品の常連を含め、数々の名優が出演。マット・デイモン、ケネス・ブラナー、ゲイリー・オールドマン、ラミ・マレック、ケイシー・アフレック。この5人は皆アカデミー賞受賞者ですね(デイモンとブラナーは脚本賞ですが)。


アーネスト・ローレンス役はジョシュ・ハートネット。20代だった00年代頃は話題作に出まくっていた彼ですが、久々にお目にかかりました。なかなか素敵なミドルになっていますね。

 

最後に

今回は映画『オッペンハイマー』の感想でした。本作は素晴らしい力作ですし、アカデミー賞7部門受賞も納得なのですが、正直なところ、私がノーラン監督に求める作品ではありません。ノーラン監督には、やはりこれまでのような娯楽大作を求めてしまいます。アカデミー賞も獲ったことですし、今後はまた娯楽に戻ってもらえればと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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