どうも、たきじです。
今回は2016年公開の韓国映画『お嬢さん』の解説&感想です。
作品情報
タイトル:お嬢さん
原題 :아가씨
製作年 :2016年
製作国 :韓国
監督 :パク・チャヌク
出演 :キム・ミニ
キム・テリ
ハ・ジョンウ
チョ・ジヌン
上映時間:145分
解説&感想(ネタバレあり)
言語とキャスティングの違和感
パク・チャヌク監督の『お嬢さん』は、日本統治下の朝鮮を舞台に、ロマンス、サスペンス、詐欺劇が巧みに絡み合う一作です。
まず触れておきたいのは、キャスティングについて。本作では主要な日本人役を韓国人俳優が演じ、日本語を話す場面が多く登場します。俳優陣が相当な練習を重ねたことは伝わってきますし、決して「片言」というレベルではありません。
しかし、日本人としてはどうしても発音に訛りを感じてしまいますし、彼らの顔立ちも韓国人。それらはノイズになるので、本作への没入を妨げたのも事実です。ただ、それを差し引いても、本作は十分に見応えのある作品でした。
官能的演出の妙
本作を語る上で欠かせないのが、官能的な演出です。
例えば、浴室でスッキが秀子の歯を削る場面。接近する2人の距離、交わる視線、その張り詰めた空気は心臓の鼓動すら聞こえてきそうな緊張感を漂わせます。後のシーンで、ベッドで横たわったスッキが自らの下腹部に手を伸ばし、指には先ほどの金具がついている——。こうした細やかな演出が、スッキの心情を描写します。
一方で、秀子とスッキが交わるシーンのような直接的な性描写は評価の分かれるところかもしれません。それによって観る人を制限してしまうのも事実ですからね。とはいえ、後述するように、こうした描写は本作の根底にあるテーマを描く上で必要なもの。本作には欠かせないエッセンスであることも確かです。
『羅生門』的視点転換
本作は三部構成になっています。第一部はスッキの視点で、女性同士の官能的なロマンス映画の様相で描かれます。それが最後に思わぬ展開を見せ、観客は物語の方向性を見失います。そして、第二部で時間を遡り、秀子に視点を移し、予想もしなかった真実が明らかになっていくことで、映画は騙し合いの詐欺劇やサスペンスの様相を呈していきます。
視点を変えることで予期せぬ真実を明らかにし、物語を何度もひっくり返していく構成がうまく決まっていて、観客は映画にどんどん引き込まれていきます。第一部において、木に掛けられた縄や、地下室の謎など、観客にちょっした引っかかりを与えておいて、第二部以降で明らかにしていくのもうまいです。
視点を変えることで違う側面を見せるという構成は、黒澤明監督の『羅生門』(あるいはその原作小説『藪の中』/芥川龍之介)を彷彿とさせます。ただ、この手の映画では2010年の日本映画『告白』という傑作があるので、同作と比べてしまうと、物足りなさを感じてしまう部分もありますが。
「抑圧からの解放」というテーマ
本作の根底に流れるのは「抑圧からの解放」というテーマです。男性による女性への抑圧が、物語を通じて色濃く描かていますが、最終的に女性2人は互いに手を取り合い、男たちに打ち勝ちます。また、日本の統治下の朝鮮という舞台設定も、抑圧的な空気を助長しています。
官能的なシーンもまた、この解放の物語に深く結びついています。服を脱ぐという行為はもちろん、欲望のままに身体を交える姿は「解放」を象徴的に描写しています。ラストシーンが最も生々しく性描写がされているのも、2人の完全なる解放を象徴する意味で必要だったと理解できます。欺瞞に満ちた物語は、解放の物語として収束するのです。
最後に
今回は映画『お嬢さん』の解説&感想でした。一見すると官能的なロマンス映画のようでいて、サスペンスや詐欺劇、そして抑圧からの解放というテーマが複雑に絡み合った作品です。欲を言えば、クライマックスでもう一つ突き抜けるようなカタルシスが欲しかったところではありますが、観終えた後に強い印象を残す、満足度の高い作品でした。
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