どうも、たきじです。
今回は2025年公開のアメリカ映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の解説&感想です。前作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』に続く、大ヒットスパイアクションシリーズの第8作です。
↓ 前作の解説&感想はこちら
作品情報
タイトル:ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング
原題 :Mission: Impossible – The Final Reckoning
製作年 :2025年
製作国 :アメリカ
監督 :クリストファー・マッカリー
出演 :トム・クルーズ
ヘイリー・アトウェル
ヴィング・レイムス
サイモン・ペッグ
イーサイ・モラレス
ポム・クレメンティエフ
ヘンリー・ツェニー
シェー・ウィガム
アンジェラ・バセット
上映時間:169分
解説&感想(ネタバレあり)
前作の数ヶ月後からの幕開け
『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は、前作『デッドレコニング PART ONE』から直接つながる物語です。前作のラストで大きく盛り上げて本作への流れを作ったわけですが、本作はその数ヶ月後から始まります。
なんとなく前作ラストの勢いをそのまま引き継ぐハイテンションなオープニングを期待してしまったのですが、どうしてもその熱量をいったん冷まされたような感覚を持ってしまいました。もちろん物語を整理するためには必要な構成なのは分かるのですけどね。
スパイ映画らしい魅力は薄れたか
この2部作でイーサン・ハントに立ちはだかるAI「エンティティ」。前作は、その公開がたまたまAIブームと重なったことで、"AIの脅威"を骨格としたストーリーに対して馴染み深く観ることができました。
しかし本作における描写にはちょっとした違和感もありました。それは、エンティティと交信するあの装置の登場です。SF感が強く、やけに嘘っぽく感じてしまいます。どこかオカルトめいた雰囲気すら漂い、シリーズのリアリティラインを超えているように感じられました。
また、かつてのシリーズは「イーサンたちが人知れず行動し世界を救う」というイメージでしたが、本作では随分と大々的に行動しているような印象を受けました。世界規模の危機に、国家間の対立も絡み、大統領までイーサンの行動に直接介入。米軍の空母まで巻き込んでいます。
スケールアップしたことで迫力が増した部分はありますが、その反面、スパイ映画らしい魅力は薄れてしまったようにも感じました。
多様性への配慮が悪目立ち
本作では脇役に女性のキャスティングが非常に目立ちます。大統領、空母の艦長、オスプレイのパイロットなど、重要なポジションに女性キャラクターが数多く配置されています。また、人種的にも非常に多様なキャスティングです。
もちろん多様性の尊重そのものは悪いことではありません。アカデミー賞が多様性基準を設けたことなど、社会的要求に応えざるを得ないことも理解できます。しかし、結果として、それが作品を歪めてしまっているように、私には感じられました。
物語の中で自然に存在しているというより、「多様性への配慮」が悪目立ちして、時折映画への没入を妨げてしまいます。キャラクターを見るのではなく、制作側の意図を見てしまうというか…。
見たことのないアクションへのチャレンジ
本作の見どころを一つ挙げるとしたら、個人的には、沈没した潜水艦でのアクションを選びます。
このシーン自体が、ものすごく興奮のシーンだったかといえば、そこまでは言いません。しかし、閉鎖空間、浸水、極度の水圧、回転する船体といった要素を組み合わせ、これまで見たことのないアクションを作ろうというチャレンジに感服させられました。
アクション映画は長年続くとアイデアが枯渇しがちですが、本作はまだ新しい見せ方を模索しているのが伝わってくるのです。トム・クルーズの絶えることのない情熱もあいまって、印象に残るシーンでした。
一方で、そこからの脱出シーンについては物申したい(笑)。極度の水圧と極寒の環境の中で、イーサンはなんとスーツを脱ぎ、生身で泳いで水面まで浮上するのです。アクション映画にはある程度ハッタリが必要だとしても、これはさすがにリアリティが無さすぎです。
クライマックスのマンネリ化
クライマックスはもちろん盛り上がります。しかし、どこか既視感もありました。
- 複数地点での同時進行
- 刻一刻と危機が迫るカウントダウン
- イーサンによる肉体的な突破
- 仲間たちによる別地点でのサポート
これは本シリーズ(特に後期)が繰り返してきた定番の構図です。これが本シリーズの魅力であると同時に、マンネリという印象も否めません。上述の沈没潜水艦のシーンのような新しさをクライマックスでも見たかったところです。
一方で、手放しで賞賛したいのは、年齢を重ねてもなお、自ら危険なスタントに挑み続けるトム・クルーズの姿勢。CG全盛の時代にあって、観客に本物の興奮を届けようとする執念は唯一無二です。その姿勢こそが、本シリーズを支えてきた最大の魅力なのだと思います。
過去作との繋がり
本作はシリーズ過去作との繋がりが強く意識されていることも印象的です。
本作に登場するキトリッジ(前作から)やダンローは1996年の第1作からのキャラクター。また、ブリッグスはと第1作のフェルプスの息子であったことが明らかになります。さらには第3作で登場したラビットフットも本作で言及されます。
これらは長年シリーズを観てきた観客にとっては嬉しいファンサービスであるものの、正直言って過去作のすべてを鮮明に覚えている観客は一握りでしょう。ここ数年でシリーズを再鑑賞した私でさえ、ところどころで「これ誰だっけ?」となってしまいました(これは記憶力の問題か笑)。
そうなってしまうと、作品を100%楽しめていない気がして、モヤモヤしながら観ることになってしまうんですよね。
ドラマは少し物足りない
本作で最も惜しいと感じたのは、ドラマの弱さです。
ガブリエルはイーサンの因縁の相手。しかし、過去の因縁はあまり掘り下げられません。作品を跨いで登場する悪役にしては、その最期もあまりにあっけないものでした。
また、父を殺されたことでイーサンのことを憎んでいるブリッグスとは、特別なエピソードが描かれるわけでもなく、エピローグで予定調和的に和解します。
ブリッグスのパートナーのドガは流れでなんとなく仲間になり、前作でキャラ立ちしていたパリスは、仲間になったら特にドラマもなく存在感が薄まっています。
さすがにルーサーにはドラマ的な見せ場が用意されていますが、ベンジーやグレースといった主要キャラクターにももう少し感情を揺さぶる場面が欲しかったところです。
全体として、人間関係を深掘りするようなドラマはシリーズの中でも比較的あっさりしています。たくさんのキャラクターの個性が生きる見せ場が少ないのも惜しいところでした。
最後に
今回は映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の解説&感想でした。
新しいアクションへの挑戦は見られたものの、作品全体としての新しさや意外性という点ではやや物足りなさも残りました。その点では、前作の方が、「次はなにを見せてくれるのだろう」というワクワクは大きかった気がします。
とはいえ、十分に楽しめるアクション超大作であることは間違いありません。トム・クルーズの絶えることのない情熱には、改めて敬意を表したいと思います。
個人的な満足度:7/10
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