どうも、たきじです。
今回は1997年公開のイタリア映画『ライフ・イズ・ビューティフル』の解説&感想です。イタリア映画ながら、アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞などの主要部門を含む7部門にノミネートされ、主演男優賞を含む3部門を受賞しています。
作品情報
タイトル:ライフ・イズ・ビューティフル
原題 :La vita è bella
製作年 :1997年
製作国 :イタリア
監督 :ロベルト・ベニーニ
出演 :ロベルト・ベニーニ
ニコレッタ・ブラスキ
ジョルジョ・カンタリーニ
ホルスト・ブッフホルツ
上映時間:117分
解説&感想(ネタバレあり)
私が『ライフ・イズ・ビューティフル』を初めて観たのは、中学生くらいの頃だったでしょうか。笑い、涙し、その素晴らしさに衝撃を受けたのを覚えています。特に、緻密に作り込まれた脚本には感心させられました。
本作は、第二次世界大戦下のイタリアを舞台に、ユダヤ系イタリア人のグイドが家族を守るために奮闘する物語です。ナチスの影響下の過酷な状況を描きながらも、愛とユーモアに満ちた希望の物語となっています。
映画前半では、グイドとドーラが結ばれるまでがユーモアたっぷりに描かれる一方、後半では、ナチスによるユダヤ人の強制収容所での過酷な生活が描かれます。前半と後半でがらりと雰囲気が変わる2部構成です。
前半では、グイドが、ドーラに一目惚れするところから始まり、グイドの奔放で機知に富んだ行動がコミカルに描かれます。卵、帽子、鍵、車、ショーペンハウアー、なぞなぞなど、多くの伏線が張られ、それらが巧妙に回収されていくのが心地良いです。特に、グイドが運転する車が故障し、グイドとドーラが車を降りてからの一連の伏線回収は見事です。
また、コメディ中心の前半においても、後半につながる描写が散りばめられています。グイドの叔父の馬に対する人種差別的ないたずら、アーリア人の優秀さを説く講演、ドイツの小学校の過激な算数の問題など、ユーモラスな場面の中にも、迫り来るホロコーストの影がちらついています。
そして、後半に入ると、作品のトーンは一変します。ユダヤ人であるグイドと幼い息子のジョズエは、ナチスによって強制収容所へと送られます。妻ドーラも、夫と息子を追って自ら収容所に入ります。絶望的な状況の中、ジョズエを不安にさせまいと、常に明るく振る舞うグイド。「これはゲームなんだ」と嘘をつき、収容所での生活を「ポイントを競うかくれんぼ」に変えてしまいます。グイドの機転と嘘に、笑いと感動が交錯します。
例えば、ドイツ兵によるドイツ語での命令を、すべてゲームの説明であるかのように“誤訳”してジョズエに伝えるシーンは爆笑もの。しかし、これもすべてジョズエを安心させるための必死の演技だと思うと胸に沁みます。
あるいは、収容所に行く前の場面で、ジョズエが「ユダヤ人と犬はお断り」と書かれた貼り紙を読むシーン。なぜユダヤ人と犬が入れないのか問うジョズエに対し、グイドは言います。
嫌いだから入れたくないのさ。
向こうの金物店ではスペイン人と馬は入店禁止だ。
薬局には中国人とカンガルーが入れない
(パパの書店は?と問われ)
何を入店禁止にしたい?
クモか。パパは西ゴート族が嫌いだ。
「クモと西ゴート族はお断り」だな。
早速、店の前に貼ろう。
辛辣な人種差別を前にして、ユーモアと息子への思いやりが溢れる台詞に、笑わされると同時に感動させられます。西ゴート族というチョイスがまた絶妙で(笑)。
収容所での生活の中で、グイドは常に家族を思いやります。男女が分けられ、グイドとジョズエはドーラと会えない状況。そんな中、グイドはドイツ兵の目を盗み、ジョズエとともに放送音声で自分たちの声をドーラに聞かせたり、蓄音機でドーラにも聞こえるように思い出の曲をかけたりします。危険を冒してまでドーラを勇気づけようとする彼の姿には胸を打たれます。これらのシーンでも、「こんにちは、姫様!」の台詞やオペラの楽曲が前半からの伏線として効いており、より一層心に響きます。
グイドは最期の瞬間まで家族のために奔走します。銃を向けられながらも、ジョズエに向かって滑稽な歩き方を見せるグイドの姿は、涙なしには見られません。彼は最期まで、ジョズエの"恐怖のない世界"を守り抜きます。
翌朝、収容所が解放され、ジョズエの目の前に現れるのは、まさにグイドが約束した“ご褒美”の戦車。そしてジョズエは、母ドーラと再会を果たします。グイドの死は悲しい結末ですが、彼は最後まで家族を守り抜き、希望を残しました。この映画は紛れもなく“ハッピーエンド”なのだと言えるでしょう。
最後に
今回は映画『ライフ・イズ・ビューティフル』の解説&感想でした。本作は、ホロコーストという歴史的悲劇を背景にしながらも、愛とユーモア溢れた作品です。例えどんな時代、どんな状況に置かれようとも、愛やユーモアは人の心を支える力となる。そして、「人生は美しい」。本作はそんなふうに、人生そのものを肯定する作品なのだと、私は思います。
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