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映画『素晴らしき哉、人生!』ストーリーと感想 人は何のために生きるか

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 どうも、たきじです。

 

クリスマスということで、1946年のアメリカ映画『素晴らしき哉、人生!』を見ました!

 

アメリカでは毎年どこかのテレビ局で必ず放送されると聞いたことがありますが、それくらいクリスマス映画の定番とも言える作品です。

 

学生時代に観て感動して以来、私にとっても大切な一本。今回、本作を数年ぶりに見返してみて、"人は何のために生きるか"考えてみました。

 

なお、本作のタイトル「素晴らしき哉、人生!(It's a Wonderful Life)」と類似したタイトルの「素晴らしきかな、人生」(2016年)という映画がありますが、本作とは全く関係ありません(原題は"Collateral Beauty")。リメイクでもない作品に、本作のような歴史的名作と同じ邦題をつけるという暴挙が、なぜ起こってしまうのでしょう?信じられません…

 

作品情報

邦題  :素晴らしき哉、人生!

原題  :It's a Wonderful Life

公開年 :1946年(日本公開1954年)

製作国 :アメリカ

監督  :フランク・キャプラ

キャスト:ジェームズ・スチュアート

     ドナ・リード

     ライオネル・バリモア

     ヘンリー・トラヴァース

上映時間:130分

 

ストーリー

(がっつりネタバレありのストーリーです。パブリックドメインの映画なのでご了承ください。)

 

クリスマスイヴのベドフォード・フォールズ。多くの人々がジョージ・ベイリーという男のために神に祈ります。彼の知人、友人、妻、子…。その声はやがて天へと届きます。もうすぐ自殺しそうなジョージを救うために、天はまだ翼のない二級天使のクラレンスを使わすことを決めます。そして、なぜジョージが自殺寸前に追い込まれたのか、クラレンスに予備知識を持たせるために、ジョージの生い立ちから見ていくことになります…。

 

少年期、活発なジョージは仲間達と真冬の氷の上を滑って遊んでいます。その際、幼い弟のハリーが池に落ちます。それを助けたジョージは風邪を引き、左耳の聴力を失います。

 

体調が治ると、ガウアーさんの薬局でのアルバイトに復帰。薬の配達を頼まれますが、この薬には劇薬が調合されていることにジョージは気づきます。ガウアーさんは息子を病気で失い、傷心の中、調合を間違えていたのです。言い出せないままジョージは店を出ますが、配達できずに店に戻ります。ガウアーさんは配達をもたついているジョージを殴りますが、訳を聞いて理解し、ジョージを抱きしめます。ガウアーさんの気持ちを察したジョージはこのことを決して人に言いませんでした。

 

幼い頃から世界にはばたいて建築家になりたかったジョージ。しかし、父親の経営するベイリー住宅金融は貧しい人にも低利で貸し付けるため、決して裕福とは言えない暮らし。友人達が大学に進学して街を出る中、ジョージは働いて学資を蓄えます。弟が高校を卒業する頃になってようやく学資が貯まり、大学進学前に世界旅行に出かける準備で意気揚々。

 

そんな矢先に父親が倒れ、亡くなります。ジョージは世界旅行を中止し、ベイリー住宅金融の業務整理を行います。業務整理が終わると、株主や重役がベイリー住宅金融の今後を話し合います。ベイリー住宅金融にも影響力を持ち、街を牛耳る富豪の銀行家ポッターは、返済能力もない連中にも家を建てるような住宅金融は不要と主張し、亡くなったジョージの父を侮辱します。これに対し、ジョージは父の住宅金融がポッターの貸家から人々を救済し、いかに生活を引き上げてきたかを熱弁します。

 

大学に向かい旅立とうとした矢先にジョージは呼び止められ、ベイリー住宅金融の存続が決定したことを告げられますが、その条件はジョージが社長になることでした。ジョージは泣く泣く社長に就任し、蓄えた学資で弟のハリーを大学にやります。

 

ハリーが卒業して戻ってきたら、会社を引き継ぐ予定でしたが、卒業して戻ってきたハリーは妻を連れ、その父親から好条件の仕事ももらっていました。ハリーの結婚を心から祝いつつも、またもこの街と住宅金融に縛られることになり、ジョージは苛立ちます。

 

その後、母に促され幼馴染のメアリーのもとを訪ねます。お互いに魅かれ合いながらもなかなか素直になれない二人でしたが、やがてジョージが感情をぶちまけ、二人は結ばれます。

 

やがて二人は結婚し、ハネムーンで海外に向かおうとした矢先、恐慌が起こります。街は返済を求める人でパニックに陥り、住宅金融にも人が殺到します。ポッターが株を買い取ってくれるという噂が流れ、人々はそちらに流れようとしますが、ポッターに人々が支配されることを防ぐため、ジョージは必死になだめます。そして、ハネムーンの資金を使って、返済を求める人にお金を都合し、住宅金融の破産を免れつつ、ポッターから街の人々と住宅金融を守ります。

 

ベイリー住宅金融は庶民に寄り添った融資を続け、街の一角にはベイリーパークという住宅地もできます。しかし、街を出てやりたいことをやる友人を横目に、自分は街に縛られ続けることに苛立ちを感じます。住宅金融が成長していくことが面白くないポッターは、そんなジョージの気持ちを見透かし、好条件の仕事を与えようとします。一瞬ひかれそうになるジョージでしたが、我に返ってその申し出を断ります。

 

やがてジョージは子宝にも恵まれます。廃墟となっていた古い屋敷を改装して暮らしながら、ポッターの圧力に耐えて働きます。戦争が起こると、友人達はビジネスで儲けるものあり、戦地に向かう者あり。弟のハリーは戦闘機のパイロットとして大活躍します。ジョージは耳の障害で兵役免除となり、街で空襲の監視役などを務めます。

 

そしてクリスマス前日。ジョージ達は名誉勲章を授与されたハリーが英雄として帰還するのを心待ちにしています。そんな中、ジョージの叔父ビリーは住宅金融の多額の資金を銀行に預けに行きますが、不注意で紛失してしまいます。そのお金は実はポッターの手に渡ってしまっています。

 

お金の紛失を聞いたジョージは必死に探しますが、見つかるはずもありません。監査官が訪れる中、破産や刑務所行きの危機に焦り、ビリーに怒鳴り散らして飛び出します。ジョージはいったん家に帰りますが、家族にも八つ当たりしてしまいます。プライドを捨ててポッターに借金を頼むジョージですが、ポッターはここぞとばかりにジョージを責め立て、金の横領や帳簿改変の容疑で、監査官に逮捕令状を要求する電話をかけます。

 

追い詰められたジョージは馴染みの酒場で飲んだくれた末、橋から飛び降りて川に身を投げようとします。その時、1人の老人が川に身を投げます。助けを求める声に、ジョージは必死に彼を助けます。

 

彼こそが天が使わした天使、クラレンスでした。『トム・ソーヤーの冒険』を新作だと言って持ち歩き、自分は天国から来たという彼をジョージは懐疑的に見つめます。やがて「生まれてこなければよかった」と言うジョージの言葉を聞き、クラレンスは、ジョージが生まれなかった仮の世界に、世界を創り変えます。突然雪が降りやみ、聞こえないはずの左耳も聞こえ出し、ジョージは不思議に感じながら外に出ます。

 

ジョージは先ほどまでいた酒場に向かいますが、温厚だったバーテンのニックは気性が荒く、様子が変。クラレンスが「ベルの音はどこかの天使が翼を得た合図」「自分は293歳」などというものだから「雰囲気を害すな」と怒鳴られ、手荒に酒場を追い出されます。

 

ベドフォード・フォールズに戻ると、ジョージの知っている街とはすっかり違っていて、ポッターズ・ビルという歓楽街になっています。人々もすっかり違い、薬局のベイリーさんは患者を毒殺した罪で刑務所に入れられ、その後は飲んだくれて廃人状態。友人も母も、ジョージのことを知りません。住宅金融はとっくにつぶれ、叔父のビリーは失業のショックで病院に。ベイリーパークは元あった墓地のままで、そこには幼くして死んだハリーの墓が。住み慣れた我が家は廃墟のままで、妻のメアリーは独身のままでどこか暗い表情をしています。

 

親友のはずの警官バートに追われ、たどり着いたのは身を投げようとした橋の上。ジョージは泣きながら「元の世界に戻りたい!もう一度生きたい!」と叫びます。すると止んでいた雪が降りだします。追ってきたバートに対してジョージは身構えますが、バートは優しく「大丈夫か?ジョージ」と声をかけます。

 

元の世界に戻ったことを知ったジョージは歓喜し、駆け出します。そして見慣れたベドフォード・フォールズを走りながら満面の笑みで叫びます。「メリークリスマス!映画館!」「メリークリスマス!百貨店」「メリークリスマス!ベイリー住宅金融!」道行く人々が返します。「メリークリスマス、ジョージ!」

 

家に戻ると妻メアリーが言います。「奇跡が起こったの!」ジョージの窮状を聞いた街の人々の間で寄付運動が起こりお金が集まったのです。次々に訪れる街の人々で家の中はあふれます。「ヘソクリを出してきたよ」「あんたのおかげで家が持てた」監査官は令状を破り捨てて微笑みます。

 

状況を聞いたハリーがニューヨークの祝賀会を抜け出して戻ってきて言います。「街で最も豊かな兄、ジョージに乾杯!」巻き起こる大合唱。そこにはガウアーさんや、友人たち、母、ハリーも、仮の世界では見られなかった素敵な笑顔で歌っています。

 

ジョージはテーブルにある『トム・ソーヤーの冒険』を見つけます。ページをめくると、そこにはクラレンスからのメッセージ。「友あるものは救われる。翼をありがとう。」クリスマスツリーの飾りのベルが鳴ります。ジョージは呟きます。「やったな、クラレンス」

 

感想

ストーリーを思い返すだけでも、ジーンときてしまいました。私にとって本作は、初めて心の底から感動した映画です。

 

いわゆる"泣ける映画"というのはたくさんあります。主人公の男女に悲しい別れが訪れると泣けます。主要なキャラクターが映画終盤で死んでしまうと泣けます。おまけにそれが自己犠牲なんかだったりすると余計に泣けます。

 

それはそれでいいです。でもそういう映画は、心の底からの感動というよりは、表面的な感動が多いです。そこそこの脚本家なら、そんな脚本、書こうと思えば簡単に書けるでしょう。でも一流の脚本家は、そうではなくて、本作のように深いところで心を揺さぶる脚本を目指していると思います。

 

本作には、とにかくポジティブな感動を与えられます。自分の存在しない仮の世界から現実の世界に戻り、ジョージは歓喜します。底抜けに明るい表情で駆け回るジョージの姿、そこに"人生の素晴らしさ"、"自分が存在するこの世界の素晴らしさ"を見て、心を揺さぶられるのです。そこら中の建物や道行く人に、そしてポッターにまで、ハイテンションにメリークリスマスを叫ぶ姿は滑稽でもありますし、見ていて少し笑ってしまいます。笑っているのに涙がこぼれる、そんなポジティブな感動を与えられるのです。

 

ここで重要なのは、彼を自殺寸前まで追い詰めた原因であるお金の紛失は、この時点では何も解決していないことです。それでもあれだけ歓喜できることに何の違和感も感じないのは、ジョージが"人生の素晴らしさ"に気付く過程を十分過ぎるほどに描いて見せた脚本の説得力だと思います。ジョージの生い立ちを描く前半で、彼と仲間達の関係を丁寧に描いてきたからこそ、仮の世界の絶望感は相当のものですし、それゆえに元の世界に戻った時の安堵と高揚、そして"人生の素晴らしさ"をジョージと一緒に噛み締め、納得できるのです。

 

その後、仲間達がジョージの元へ駆けつけてくるシーンは、まさに駄目押しの感動です。「ジョージのために」と皆が集まるというだけでも"泣ける"のですが、やはり仮の世界で仲間達の悲惨な姿を見せつけられていますから、このシーンでは仲間達の素敵な笑顔を見るだけでも心を揺さぶられます。巻き起こる大合唱、クラレンスからの「友あるものは救われる」のメッセージ、鐘の音と、さらに感動を畳み掛けられ、映画が幕を閉じてからも本当に幸せな余韻が残ります。

 

本作を見ると自分がこの世界に生きていることの喜びを再認識させられます。人は誰かに影響を受けながら、そして誰かに影響を与えながら生きているんだと実感します。今を幸せに感じられるかどうかは、自分の生き方しだい、自分の気持ちしだいです。

 

人は何のために生きるか?

映画などの芸術作品に触れた時に、それをきっかけにいろいろ考えることは大事なことだと思います。ある意味、芸術ってそのためのものと言ってもいいかもしれません。ということで、少し仰々しいテーマですが、「人は何のために生きるか?」考えてみました。宗教的な話ではありませんのでご心配なく(笑)

 

生物は皆、本能的に子孫繁栄のための行動を取ります。そのために優秀な遺伝子を求めます。つまりは"優秀な子孫を繁栄させること"が、生物が生きる目的といっていいかもしれません。

 

優秀な遺伝子を何代にもわたって求め続け、生物は何百、何千万年とかけて進化していきます。その最先端にいるのが知性を持った人類です。ではさらに先には何があるのでしょう?知性によって、より便利で快適な暮らしを求めるのは一言で言えば幸せになるためだと思います。

 

知性を持ち、感情を持った結果、我々が目指すのは幸せになることです。それはもちろん自分勝手な幸せではなくて、皆で幸せになることです。ジョージが存在した結果、ベドフォード・フォールズはいい街になり、仲間達は幸せな人生を送れていました。ジョージに限らず一人ひとりにそんな存在価値があるはずです。「それぞれが互いにいい影響を与え合って、皆で幸せになる」、そのために人は生きるのだと、思います。

 

難しいのは、人によってその幸せの形が違うことです。そこにズレがあるから世の中に大小の争いが絶えないんですよね。まあこの点は、さらに人類の知性が進化した時に、解決策が見つかることを期待しましょう(←無責任)

 

 

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