映画『アイアンマン2』感想　前作に勝るのはスカヨハの存在くらい

冒頭、花火が上がる空を舞い、エキスポ会場のステージに降り立つアイアンマン。前作のオープニングで"Back in Black"を採用したのと同様、本作でもAC/DCの"Shoot to Thrill"を採用（エンディングでも同バンドの"Highway to Hell"を採用）。エネルギッシュなハードロックに乗せた華々しいオープニングです。

オープニング後はしばらくアイアンマンが登場しませんが、自由奔放なトニー・スターク（ロバート・ダウニー・Jr.）のキャラクターが相変わらず楽しいので、まったく退屈させません。トニーが実業家とあって、彼に挨拶する形で、オラクルのラリー・エリソンやテスラのイーロン・マスクといった実業家がカメオ出演しているのも面白いところです。

そしてイワン（ミッキー・ローク）に襲われたトニーが満を持してアイアンマンに変身。ケース状になったアーマーが変形してトニーの体を包む、この変身シーンは抜群にカッコいいですね。男心をくすぐります。　

と、前半は割と良かったのですが、後半は個人的に今ひとつ。本作は、トニーの体を蝕む毒素の問題や、亡き父との関係が物語の軸となります。それ故に、能天気で自由奔放なトニーのキャラクターの爽快さは徐々に影を潜め、中盤からは少々じめじめして感じられます。パーティで飲んだくれるくだりとか、どうもじれったくて。その割に、ドラマがそこまで深く掘り下げるわけでもなく、中途半端な印象でした。

こうした物語の軸がイマイチなので、アーマーを装着したローディ（ドン・チードル）との戦いも、クライマックスのイワンとの戦いも、今ひとつ乗り切れませんでした。