どうも、たきじです。
今回は2023年公開のアメリカ映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の解説&感想です。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・シリーズとしては『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』に続く第3作、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品としては『アントマン&ワスプ:クアントマニア』に続く第32作にあたります。
本作は、シリーズ完結編であると同時に、MCUの中でも屈指の名作と言える作品です。ロケットの過去、ピーター・クイルとガモーラの関係、それぞれのキャラクターが抱えてきた傷を丁寧に描きながら、笑いとアクションで観客を一気に物語に引き込んでいきます。本作はまさに、ドラマと娯楽性が完璧に噛み合った映画です。
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作品情報
タイトル:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3
原題 :Guardians of the Galaxy Vol. 3
製作年 :2023年
製作国 :アメリカ
監督 :ジェームズ・ガン
出演 :クリス・プラット
ゾーイ・サルダナ
デイヴ・バウティスタ
カレン・ギラン
ポム・クレメンティエフ
ヴィン・ディーゼル
ブラッドリー・クーパー
ショーン・ガン
マリア・バカローヴァ
ウィル・ポールター
エリザベス・デビッキ
シルヴェスター・スタローン
チュクウディ・イウジ
上映時間:150分
解説&感想(ネタバレあり)
ロケットの過去が観客の心を掴む
本作の核となるのは、間違いなくロケットの過去。断片的に挿入される回想シーンは、あまりに悲惨で、残酷です。友達と呼べる存在を得た喜びと、それをすべて奪われる悲劇。そうした描写の積み重ねによって、観客の感情は自然とロケットに寄り添っていきます。
やがてロケットが生と死の狭間の世界でライラたちと再会し抱き合う場面は、極めて繊細なシーンです。共に逝こうとするロケットを、ライラが静かに止めます。
But not yet. You still have a purpose here.
まだ行く時じゃないわ。あなたには、まだここでやるべきことが残ってる。
この一言は、ロケットが「生きる理由」を取り戻す瞬間であり、思わず涙腺が緩んでしまいました。
ピーターとガモーラのドラマ
ガーディアンズを代表するキャラクターであるロケットが不在の時間が長く描続くにもかかわらず、本作は決して物足りなさを感じさせません。それは、ロケットを救おうとするガーディアンズの姿もまた、しっかりとドラマを形成しているからです。
"家族"として、ロケットのために迷わずリスクをとるガーディアンズ。そんな中で、ガーディアンズと度々衝突するのがガモーラです。過去作でピーターと恋人同士だったガモーラは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で命を落としており、本作のガモーラは別の世界線のガモーラです。
ピーターはガモーラのことが忘れられませんが、目の前にいるのは別人。まるで、恋人が自分との思い出だけを失ってしまったかのような、なんて切ない状況でしょう。そんなピーターとガモーラの行く末にも目が離せなくなります。
アクションが感情と直結する快感
中盤以降、カウンター・アースでのアクションからロケットの復活を経て、ノーウェア、そして敵の宇宙船へと、映画はノンストップでクライマックスへ突入します。
中でも圧巻なのが、ロケットがトラウマを乗り越え、「逃げるのはやめた」と呟き、子供たちを助けに歩き出すシーンです。ここで流れるのが Beastie Boysの「No Sleep Till Brooklyn」。リフの効いたラップ調ロックの音色が、覚悟を決めた彼らの歩みに完璧に重なります。呆れつつもそれに続くガモーラ。スローモーション。見事なヒーロー的ショットです。
それに続くアクションは、ワンカットでそれぞれの活躍を描きます。『アベンジャーズ』シリーズでも見られるショットですが、本作ではストーリーの盛り上がりが最高潮に達した瞬間に使われているので、格別の高揚感があります。
「ラクーン」という名乗りに現れた感情
本作の核心とも言えるのが、ロケットがアライグマたちを抱き寄せた後、ハイ・エボリューショナリーと対峙する場面です。
「踏み台」「通過点」「汚らわしい怪物」「89P13」——。そう言ってロケットをあざける彼に対し、ロケットは言い放ちます。
The name's Rocket. Rocket Raccoon.
名前はロケット。ロケット・ラクーンだ。
この台詞は本作のテーマを象徴する、極めて感動的な台詞です。ロケットはこれまで、アライグマ(ラクーン)と関連づけられた呼び方をされることを拒んできました。それはプライドから来るものではなく、実験台として、モノのように扱われた過去を想起させる呼び方だったからだと、本作を観ると分かります。
しかしこの場面で、彼は自らラクーンと名乗ります。アライグマたちを抱き寄せた瞬間に過去と向き合ったロケット。実験台であったことを含め、アライグマであったという過去を受け入れた上で前に進む、そんな決意が感じられます。
また、本作において名前は重要なファクターです。ライラたちとともに考えた「ロケット」と、「ラクーン」を結びつけたロケット。「89P13」と呼ぶハイ・エボリューショナリーに対し、「おれはお前が定義づけた失敗作ではない」という力強い宣言に感じられます。
過去の呪縛からの脱却、自分自身の肯定。そんな本作のテーマが凝縮されたこの台詞は、思い出すだけで感動せずにはいられません。この後、ガーディアンズみんなでハイ・エボリューショナリーを倒すのも、ロケットを想うみんなの気持ちが溢れていて感動的です。
各キャラクターにもドラマ的背景
また、本作は各キャラクターそれぞれの活躍にドラマ的背景が描かれていることも、さらに満足度を高めてくれます。
ドラックスは子供たちと心を通わせ彼らを助け、マンティスは巨大な怪物をいなして自らの存在価値を示しますが、この背景として、2人がネビュラに役立たず扱いされるシーンがうまく効いています。
クラグリンは、口笛で矢を操り敵を倒しますが、前作でヨンドゥの矢を受け継ぎ、矢を飛ばす練習をする様子が繰り返し描かれてきたからこそ、このシーンの感動があります。
そんなクラグリンのピンチを救うコスモは、「悪い犬」という言葉を根に持つシーンが繰り返し描かれてきました。それ故に、「犬か」と笑う敵に対するクラグリンの「そうだ。彼女は"いい犬"だぞ」 という言葉が心地よく決まっています。
そして、アダムがクライマックスでピーターを助けるのも、グルートの言葉による"改心"という大きな転換によって、感動が盛り上げられています。
単に「脇役たちも活躍する」ではなく、それぞれの活躍の背景となるドラマを描く。誰一人として、物語の飾りではない。そんな積み重ねが、クライマックスの感動を何倍にもしています。
私たちも"家族"になれた瞬間
さて、本作でガーディアンズと度々衝突していたガモーラですが、少しずつ彼らを理解していきます。それを象徴するのが、グルートの言葉が分かるようになったことです。ガモーラはガーディアンズの元を去りますが、彼女も"家族"の一員になったと考えることができます。
そして注目は、後のシーンでグルートが「みんな愛してる」と喋ること。映画を観る私たちも、最後にグルートの言葉が分かるようになったというこの演出には鳥肌が立ちました。
ガモーラが彼の言葉を分かるようになるというのは少し予定調和な印象を受けていたのですが、このシーンのための前振りとして見事に効いていました。
ガーディアンズらしい笑いと音楽
本作はシリアスなテーマを扱いながらも、過去作と同様に、笑いのキレも抜群。何度も吹き出してしまいました。「今はコメディパートですよ」みたいな空気感が最高です。宇宙服の色と通信ボタンの色の対応についてのくだりは爆笑必至です。
そして、音楽も相変わらず最高です。上述のBeastie Boysや、なぜか使用された「子犬のカーニバル」も印象的ですが、何より素晴らしいのはオープニングとエンディングです。
オープニングはRadioheadの「Creep」のアコースティック・バージョン。自己否定と孤独を象徴する選曲が、物語と見事にマッチしています。個人的に大好きな曲でもあるので、フルコーラスでたっぷり聴かせる導入に痺れました。
そしてラストは Florence + The Machineの「Dog Days Are Over」。苦難の日々の終わりと希望を歌うこの曲は、オープニングの「Creep」と見事に対比されていて、物語を余韻とともに締めくくります。
自分の居場所を見つける物語
エピローグでは、クイルとマンティスがガーディアンズを去ります。クイルは過去から逃げずに地球へ帰る道を選び、ずっと誰かに従い続けてきたマンティスは自分の道を探す旅に出ます。ドラックスは「破壊者」から「父親」になり、ロケットは新たなリーダーとして仲間を率います。
この結末は、決して取ってつけたものではなく、本編で丁寧に描かれてきたドラマの延長線上にあります。ロケットのみならず、本作は、それぞれが過去から解放され、自分の居場所を見つける物語。ピーターとガモーラがくっつくことはありませんでしたが、この2人を含め、それぞれが新しい道を歩き出す、前向きな別れの物語なのです。
最後に
今回は映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の解説&感想でした。本作は、ドラマとアクションが絡み合い、最高の興奮と感動を与えてくれる作品です。さらに、笑いや音楽の素晴らしさも相まって、個人的には、MCUの中でもトップクラスの名作だと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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