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映画『エターナルズ』解説&感想 哲学的テーマを持つMCUの異色作

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どうも、たきじです。

 

今回は2021年公開のアメリカ映画『エターナルズ』の解説&感想です。MCU作品としては『シャン・チー/テン・リングスの伝説』に続く第26作にあたります。

 

 

↓ MCU前作の解説&感想はこちら

 

作品情報

タイトル:エターナルズ

原題  :Eternals

製作年 :2021年

製作国 :アメリカ

監督  :クロエ・ジャオ

出演  :ジェンマ・チャン
     リチャード・マッデン
     クメイル・ナンジアニ
     リア・マクヒュー
     ブライアン・タイリー・ヘンリー
     ローレン・リドロフ
     バリー・コーガン
     ドン・リー
     キット・ハリントン
     サルマ・ハエック
     アンジェリーナ・ジョリー
     デビッド・ケイ
     ビル・スカルスガルド

上映時間:156分

 

解説&感想(ネタバレあり)

過去のMCU作品とは一線を画す哲学的テーマ

『エターナルズ』は、同年に本作に先立って公開された『ノマドランド』でアカデミー監督賞を受賞したクロエ・ジャオ監督の作品。MCU作品で初めての、オスカー監督による作品です。本作の撮影時点ではまだアカデミー賞受賞前ですから、ジャオ監督の起用は極めて意欲的な人選と言えるでしょう。

 

原作の持つ哲学的なテーマは、ジャオ監督の作風と見事にマッチしてより深められ、視覚的な美しさも相まって、極めて芸術性の高い作品になっています。これは、これまでのMCU作品とは一線を画すものです。

 

物語の中心は、世界の創造より前に出現したというセレスティアルズ(いわば神のような存在)によって、人類を守るために地球に遣わされたエターナルズ。彼らは数千年にわたり、知的生命体を捕食するディヴィアンツから、人類を守護してきました。

 

やがて意外な真実が明らかになることで、物語は転機を迎えます。地球は、10億年ごとに出現するという新たなセレスティアルズの宿主にされており、知的生命体(=地球人)はセレスティアルズが成長するためのエネルギーになるというのです。エネルギーがたまり、セレスティアルズが出現するとともに地球は破壊されることになります。エターナルズは、エネルギーとなる地球人の数を増やすために、彼らを守っていたのです。

 

また、エターナルズは、セレスティアルズを出現させるたびに記憶をリセットされ、また次の惑星でセレスティアルズを復活させるための任務にあたるようプログラムされており、いわばセレスティアルズの道具に過ぎない存在であったということも明らかになります。これまでの使命や記憶が虚構だったことを知った彼らは、自らの存在意義や自由意志について深い葛藤を抱えることになります。

 

そして、やがてエターナルズは、セレスティアルズへの忠誠心を持って任務を成し遂げようとする者と、地球を守ろうとする者とで2つに割れることになります。各キャラクターそれぞれが抱える信念や愛、葛藤が、哲学的なテーマの中で掘り下げられていきます。

 

キャラクターの葛藤

地球人を愛し、セレスティアルズの意に背いても地球人を守ろうとするセルシ。それに対し、自分はセレスティアルズに造られ、セレスティアルズのために存在していると信じるイカリスは他の皆を殺してでも任務を成し遂げようとします。そんな信念を持っているかに見えたイカリスも、セルシへの愛の中でまた葛藤し、最後には大きな決断を下すことになります。

 

ドルイグは何千年も地球人の殺し合いを傍観することに嫌気がさし、意識を操る能力で地球人の争いに介入します。地球人の暴力と恐怖と飢えが消えるように、全人類の意識を支配しようと考えた彼ですが、「欠点がなくなったら人間じゃない」と気づき、それをやめます。

 

ファストスはその能力によって地球人の技術を発達させてきましたが、やがてそれが原子爆弾の投下という結果を招いたことに自責の念を感じるとともに、地球人は守る価値がないと見限ります。それでも地球人と家庭を持ち、「自分は家族のために存在している」と、任務を捨てて地球人を守ります。

 

MCU作品への期待とのギャップ

このように、与えられた任務や自らの運命と、自由意志との対立の中で葛藤する彼らのドラマ。これを軸とした哲学的なテーマは、これまでのMCU作品のような、娯楽性の高いカジュアルなスーパーヒーロー映画を求めていた観客にはウケにくいのは明白です。このような作品の内容と観客の期待とのギャップを考えると、本作が賛否両論であったことは頷けます。私も、どちらかと言えば戸惑った層で、期待した映画ではなかったというのが正直なところです。

 

本作を観て、私はザック・スナイダー監督の『ウォッチメン』を思い出しました。同作も、スーパーヒーロー映画でありながら、娯楽性はあまり高くなく、哲学的なテーマを持った作品でした。非常に評価の高い作品である一方で、娯楽的な普通のスーパーヒーロー映画かと思って観た人には戸惑いもあったでしょう。

 

『エターナルズ』の場合は、MCU作品として多くの人の目に触れた分、そうした戸惑いの反応も多かったのでしょう。それが賛否両論という結果に繋がったように思います。

 

本作は決して悪い作品ではないのに、MCU作品に組み込まれたことで、その点では損していますね。もちろん、MCU作品だからこその予算規模で製作できたでしょうし、多くの観客に見てもらえたことはメリットでしょう。ただ、観客の期待とのギャップという点に加え、MCU作品としての制約も本作には邪魔になっている印象です。

 

サノスの指パッチンの話とか、アベンジャーズのリーダーの話とか、無理矢理捩じ込まれた印象ですし、ミッドクレジットシーンで登場するエロスとピップ・ザ・トロールの軽い雰囲気は、本作の空気感の中では何とも場違い。嫌悪感すら覚えましたよ(笑)。

 

エターナルズの多様性

エターナルズの面々それぞれの様々な能力は『アベンジャーズ』シリーズなどと同様に多様なアクションを生み出し、観客を楽しませます。物質を他の物質に変えるセルシの能力、空を飛び目から光線を出すイカリスの能力(ほぼスーパーマン)、超高速で移動するマッカリの能力など、それらが存分に活用されています。

 

人種、性別、見た目の年齢が様々であったり、同性愛者や聴覚障害者もいたりと、キャラクターの多様性に富んでいる点も本作の特徴でしょう。ちょっとわざとらしさを感じなくもないですが。

 

子供の外見を持つスプライトが「どうしてセレスティアルズは私を子供の姿に作ったのか」という苦悩を露わにするシーンがありますが、「その方が多様性があっていいと、脚本家が考えたからです」って思ってしまいました(笑)。まあ、原作にもいるキャラクターみたいですが。

 

最後に

今回は映画『エターナルズ』の解説&感想でした。MCU作品に期待するような作品ではなかったものの、クロエ・ジャオ監督によって掘り下げられた哲学的テーマや視覚的美しさも相まって、極めて芸術性の高い作品でした。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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