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映画『クリムゾン・タイド』解説&感想 緊張感溢れるドラマを交えた潜水艦映画

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どうも、たきじです。

 

今回は1995年公開のアメリカ映画『クリムゾン・タイド』の解説&感想です。

 

 

作品情報

タイトル:クリムゾン・タイド

原題  :Crimson Tide

製作年 :1995年

製作国 :アメリカ

監督  :トニー・スコット

出演  :デンゼル・ワシントン
     ジーン・ハックマン
     ジョージ・ズンザ
     ヴィゴ・モーテンセン
     ジェームズ・ガンドルフィーニ
     マーク・クリストファー・ローレンス
     マット・クレイヴン
     ダニー・ヌッチ

上映時間:116分

 

解説&感想(ネタバレあり)

核ミサイル発射命令を巡る艦長と副長の対立

「潜水艦映画にハズレなし」。映画ファンの間では、しばしばそのように語られますが、『クリムゾン・タイド』もその例に漏れぬ作品です。見えない敵の脅威、閉塞感あふれる空間、浸水による混乱——潜水艦映画に共通するスリルが、本作にも存分に詰まっています。

 

そうした潜水艦映画の王道的な要素を盛り込みつつも、本作の主軸はそこにありません。本作で際立つのは、外界から隔絶された艦内で勃発する、乗員同士の争いが生む緊張感。物語の主軸は、核ミサイル発射命令をめぐる艦長と副長の対立にあります。

 

通信が途中で途絶え、核ミサイル発射命令が有効かどうかが不明な中、命令に従い発射すべきだと主張するラムジー艦長(ジーン・ハックマン)と、状況が明確になるまで待つべきだと主張するハンター副長(デンゼル・ワシントン)が激しく対立します。

 

命令と良心のはざまで揺れる決断、あるいは揺るぎない信念の衝突。これらが、息詰まる閉鎖空間の中で展開するのです。潜水艦が潜航して以降、カメラは水上に出ることなく、水中と艦内の映像のみで物語が進んでいくことで、観客も息の詰まるような感覚とともに映画に没頭させられます。

 

物語の味付けも巧みな脚本

本作の脚本は、上記のようなプロットの面白さだけでなく、登場人物たちの台詞やキャラクター描写など、物語の味付けとなる表現も実に巧みです。

 

例えば、映画序盤だけでも、下記のようなシーンが挙げられます。

  • ハンターの子供の誕生パーティー中に召集の電話がかかってくる、平和と戦争を象徴するコントラスト
  • 面談でのユーモア溢れるハンターとラムジーの会話
  • 葉巻や飼い犬によるラムジーのキャラ付け
  • 大雨の中での出航
  • ユーモアと情熱が絶妙に入り混じったラムジーのスピーチ
  • 『眼下の敵』、『深く静かに潜航せよ』といった潜水艦映画ネタ

などなど。

 

本作の脚本は、クエンティン・タランティーノがノンクレジットでリライトしたという話がありますが、こうした味付けの巧さは彼の仕事かと想像してしまいます。映画ネタなんか出されると余計に。後のシーンでも、ハンターがクルーとの信頼関係を築くきっかけとして、マーベルのスーパーヒーローのシルバーサーファーや、『スタートレック』のスコッティの話をするあたり、タランティーノっぽさを感じますよね。

 

一方で、基板の修理のシーンで何度も火花が散るのには苦笑い。映画的な演出とは分かっていても、ちょっとあり得ないですよね(笑)。

 

密室で爆発物もある潜水艦の中で、みんなぷかぷか喫煙しているのも「ええっ!」と思ってしまいましたが、これは時代的にマジなのかも…。

 

秀逸すぎるクライマックスの台詞劇

終始、緊張感溢れる本作ですが、好きなのはやはりクライマックス。艦内で、"艦長派"と"副長派"の攻防の末に、対面で座って対峙するハンターとラムジー。通信の復旧を待つ3分間、“静けさ”の中のクライマックスです。

 

このとき、2人の会話は本当に秀逸です。初対面の時の会話でハンターが乗馬が趣味だと言っていたことを受けて、ラムジーはリピッツァナーという種の馬の話をします。

 

ラムジー艦長:ポルトガルのな。リピッツァナー種の種馬だ。世界で最も訓練された馬だ。全部白馬だろ?

 

(中略)

 

ハンター:はい、実際に見たことがあります。全部白馬だと知っていました。でも、ポルトガルではなくスペイン原産です。それに、生まれたときは白ではなく黒なんです。

 

ラムジー艦長:それは知らなかったな。だが、あれはポルトガル産だ。訓練方法は至って単純だ。牛用の電気棒をケツに突っ込めば、カードを配る馬だってできあがる。要は電圧の問題だ。

 

このやり取りは、単なる雑学談義に見えて実は2人の対立構造を象徴するかのよう。ラムジーは、リピッツァナーは「最も訓練された存在」であり「白馬ばかり」と語りますが、ハンターは「生まれたときは黒馬」と指摘します。するとラムジーは、電気で従わせれば簡単だと述べます。最初は最も訓練された存在と語っていたのに、元は黒であることを指摘された途端に、力で簡単に屈服させられる存在かのように語るのです。ここには、白と黒、人種のメタファーを感じます。

 

また、ポルトガルではなくスペイン原産だと指摘されてもなお、ポルトガル原産だと言い張るラムジー。この会話には、権威と理性の対立という映画のテーマが現れています。

 

さらに、この会話はラストシーンにも繋がります。全てが終わった後、ラムジーはハンターに言います。

 

お前が正しかった。私が間違っていた…。馬のことだ、リピッツァナーの。あれはポルトガルではなく、スペインの馬だったな。

 

ラムジーの口から出た「私が間違っていた」という言葉。2人が対立したミサイル発射をめぐる問題のことかと思わせておいて、実は馬の原産地の話でした。しかし、上述の会話に込められた意味を踏まえると、単なる雑学談義の間違いを認めたこと以上の意味を持ちます。2人の和解を象徴的に表現した、見事な台詞劇でした。

 

タイトルに込められた意味

タイトルの「Crimson Tide」は直訳すると「深紅の潮流」。血や戦争を連想させる「深紅」と、その波が押し寄せてくるような情勢を感じさせる「潮流」。映画の内容を象徴的に表しつつ、潜水艦という映画の舞台との親和性もある良いタイトルです。

 

それに加え、「クリムゾン・タイド」はアラバマ大学のスポーツチームのニックネームでもあります。潜水艦“USSアラバマ”という舞台設定と重ねられていて、見事なダブルミーニングになっています。

 

ハンス・ジマーによる荘厳なスコア

本作の音楽の荘厳で英雄的なトーンは、本作の雰囲気を力強く支えています。今見るとこのような前に出てくる音楽はやや過剰に感じられる節もありますが、感情を誘導するようなこの手のスコアが当時の主流のスタイル。本作の音楽を手掛けたハンス・ジマーはその中心にいたと言っていいほど、その手の音楽のレジェンド的存在です。

 

一方で、近年のジマーは、実験的な表現も含め、映画を背後から支えるような音楽で映画のクオリティを高めています。本作で90年代のジマーのスコアを振り返って、時代と共に進化する彼の凄さを改めて感じさせられました。

 

最後に

今回は映画『クリムゾン・タイド』の解説&感想でした。潜水艦という閉じられた空間を舞台に、人間の意志対立と葛藤をテーマに据えた良作です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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