どうも、たきじです。
今回は2019年公開のアメリカ映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』の解説&感想です。アベンジャーズ・シリーズとしては前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に続く第4作、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品としては前作『キャプテン・マーベル』に続く第22作にあたります。
↓ 前作の解説&感想はこちら
↓ MCU前作の解説&感想はこちら
作品情報
タイトル:アベンジャーズ/エンドゲーム
原題 :Avengers: Endgame
製作年 :2019年
製作国 :アメリカ
監督 :アンソニー・ルッソ
ジョー・ルッソ
出演 :ロバート・ダウニー・Jr
クリス・エヴァンス
マーク・ラファロ
クリス・ヘムズワース
スカーレット・ヨハンソン
ジェレミー・レナー
ドン・チードル
ポール・ラッド
カレン・ギラン
ブラッドリー・クーパー
ブリー・ラーソン
ダナイ・グリラ
ベネディクト・カンバーバッチ
チャドウィック・ボーズマン
クリス・プラット
トム・ホランド
ゾーイ・サルダナ
エヴァンジェリン・リリー
テッサ・トンプソン
レネ・ルッソ
エリザベス・オルセン
アンソニー・マッキー
セバスチャン・スタン
トム・ヒドルストン
ベネディクト・ウォン
ポム・クレメンティエフ
デイヴ・バウティスタ
ヴィン・ディーゼル
レティーシャ・ライト
ウィンストン・デューク
ジョン・スラッテリー
ティルダ・スウィントン
ジョン・ファヴロー
グウィネス・パルトロー
ジョシュ・ブローリン
上映時間:181分
解説&感想(ネタバレあり)
MCUの集大成
前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、本作と併せた2部作の第1部というような内容で、バッドエンドと言っていい終わり方でした。そんな状態から始まる完結編が本作ですから、当然、クライマックスにかけて大いに盛り上がります。
また、MCU作品の過去21作で11年かけて描いてきたキャラクターたちがここに集まり、彼らのドラマもここに一つのクライマックスを迎えるわけです。2部作の完結編としてだけでなく、MCU作品の集大成として見応えのある作品に仕上がっています。
MCU作品の主要キャラクターの中で、前作で出番のなかった数少ないキャラクター、スコット・ラング(アントマン)とクリント・バートン(ホークアイ)が、本作では大きな役割を果たしているのはうれしいところです。
『アントマン&ワスプ』のミッドクレジットシーンで、量子世界に閉じ込められてしまったアントマンが、偶然にも元の世界に帰還したことで物語が動き出すところは興奮せずにはいられません。MCUのヒーローの中では比較的地味なアントマンが、本作での大逆転のきっかけを作るというのもいいですね。
クリントはある意味で闇堕ちし、悪人たちを容赦なく成敗するアンチヒーローと化して登場。がっつりタトゥーの入った体や、ちょっとやつれた感じは妙にリアルです。唐突に舞台が東京となり、ヤクザ役の真田広之さんが登場するのは違和感たっぷり(笑)。東京の街が作り物感満載なのと、クリントの片言過ぎる日本語はご愛嬌ということで。
タイムトラベルで紡ぐ過去と現在
前作で全宇宙の生命の半分が消え去り、ヒーローたちも多くが失われました。その絶望的な状況からの大逆転の手段は、ある意味禁じ手とも言えるタイムトラベルというもの。ヒーロー映画なんてそもそもSFやファンタジー要素満載なんですが、タイムトラベルというと途端に嘘くささが増すきらいがあります。しかも、トニー・スタークが軽いシミュレーションであっさりタイムトラベルを確立してしまいますからね。シミュレーション結果を見て「できちゃった」みたいにたじろぐ反応には笑ってしまいました。
とはいえ、こうしたタイムトラベルは、過去の作品で描かれたシーンの裏側をのぞくような面白さが満載で、ファンにとっては大きな魅力でしょう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』なんかと同じです。
『アベンジャーズ』のニューヨーク決戦の裏側で繰り広げられるストーン争奪戦は楽しいですね。キャプテン・アメリカの「ヒドラ万歳」発言とか、自分自身との対決とか、存分に楽しませてくれます。
個人的には、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のオープニングでクイルがウォークマンを聴きながら踊るシーンが好きだったので、このシーンを無音で客観視するくだりがツボでした(笑)。
また、タイムトラベルを通して描かれる各キャラクターの感情的な瞬間も見逃せません。ソーと亡き母の再会、トニーと父ハワードとの交流、スティーブとペギーの切ない再会。それぞれの場面が、ヒーローたちの人間味を際立たせています。
映画史に残る興奮の瞬間
こうしたタイムトラベルのシークエンスで中盤は楽しませてくれますが、本作の見どころは何と言ってもクライマックスにおけるサノスとの戦いです。
前作では登場が控えめだったキャプテン・アメリカが本作では存分に活躍しますから、ファンにはうれしいところでしょう。アイアンマン、ソーと共にサノスに立ち向かうシーンで、彼がムジョルニアを手にする瞬間は大興奮。初めてにしては使いこなしすぎな感じもしますが(笑)。
そして何と言っても、復活したヒーローたちが集結するシーンでしょう。最初にキャプテン・アメリカの無線に入るサムの声「On your left(左を見ろ)」は、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』で2人が初めて出会ったときの台詞と同じ(こちらの訳は「左から失礼」)なのも鳥肌ものです。この言葉が発せられる文脈が違うので、日本語だと同じ表現で訳せないのが惜しいところですね。
また、絶体絶命のピンチに援軍がかけつけるというだけでも熱いのに、このシーンでは、消滅していたヒーローたちが無事に復活した姿を見せてくれるという感動が乗っかります。さらに、全宇宙から皆が集まるというスケールも感動を盛り上げてくれます。
アントマンが巨大化し、ハルクたちを引き連れて登場して役者が揃ったところで、キャプテン・アメリカが満を持して「アベンジャーズ、アッセンブル」の号令。鬨の声とともに走り出す軍勢。流れるテーマ曲。
ここまでの一連の流れは凄まじくエキサイティングです。"瞬間最大風速"で言えば、本作のこのシーンは、歴代の映画の中でもトップクラスではないでしょうか。冒頭述べた通り、過去21作で11年かけて描いてきたドラマが、ここに極まっています。
数々のヒーローが持ち味を発揮して戦う様子は過去作同様に楽しく、この勢いを維持します。戦いの真っ只中なのに、陰でゆっくり再会を味わうスパイダーマンとアイアンマンには苦笑いですが(笑)。
キャプテン・マーベルは登場するなりサノスの巨大な宇宙船を1人で破壊(笑)。相変わらず、笑ってしまうほど強いです。スーパーヒロインたちだけでキャプテン・マーベルを援護するくだりはちょっと狙いすぎかな。
アベンジャーズ、アッセンブル
ところで、上記の台詞「Avengers, Assemble(アベンジャーズ、アッセンブル)」は、アベンジャーズの原作コミックにおけるキャプテン・アメリカの決め台詞として有名な台詞です。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のラストシーンでは、キャプテン・アメリカが「Avengers…」と言いかけてカットされるなど、焦らしに焦らして本作のこのシーンで初めて発せられます。ここまで我慢したことが、このシーンをより劇的にしています。
アベンジャーズの原作コミックを読んでいる日本人なんて、1%もいないと思いますが、このSNS時代においては、この台詞を待ち望むファンの声も広まっていきます。私を含め、MCU作品を観てきた人は、まるで原作を読んでいたかのように、「待ってました!」と、この台詞に熱狂するわけです(笑)。
なお、「Assemble」は字幕・吹替ともにそのまま「アッセンブル」と訳されていましたが、日本語では「集合する」という意味。あえて日本語に訳すとしたら、「集結だ」(命令形のニュアンスで)って感じでしょうか。
MCU作品の大きな区切り
本作でのアベンジャーズの活躍によって、インフィニティ・ストーンの力でサノスによって消された人々は復活しました。しかし、ロキ、ヘイムダル、(元の時代の)ガモーラ、ナターシャ、ヴィジョンのように命を落としたキャラクターは復活しないのも悲しいところですね。
また、アイアンマンは捨て身でサノスの企みを阻止し、生き絶えます。さらに、キャプテン・アメリカはインフィニティ・ストーンを返しに過去に戻り、そのまま過去の時代で自分の人生を生きます。アベンジャーズの中心人物であった2人が去ったことはMCU作品として大きな区切りと言えます。
スティーブがキャプテン・アメリカをサムに継承するシーンは感動的であると同時に寂しさも覚えました。そして、ラストシーン。過去の時代で暮らすスティーブとペギーのダンスとキスで締めるというのは見事というほかありません。
豪華さで力押しという印象も
さて、非常に面白い本作でしたが、個人的には期待には届かなかったというのも正直な感想です。めちゃくちゃ見事な脚本や演出というわけでもなく、どちらかと言えば豪華さで力押しな感じはありました。「これだけ贅沢な材料で料理したら、誰が作ってもある程度美味しくなるよな」という感じといえば言い過ぎですが、そこまで上手に料理した感じはないといいますか。
「アッセンブル」のシーンは間違いなく歴史に残る素晴らしいクライマックスですが、本作はMCU作品の集大成のような作品ですから、このシーンのようなブチ上がるシーンをもっと求めてしまいます。
あまり他と比較するのは良くないですが、例えば、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(3部作の最終章)なんかは、全編がクライマックスかのように盛り上がりの連続で、とにかく密度の濃い作品でした。一方、本作の場合はクライマックスに盛り上がりが集中していて、それ以外は割と普通の映画という印象でした。
最後に
今回は映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』の解説&感想でした。過去21作、11年かけて描いてきたMCU作品の集大成として、大きな区切りとなる本作。それに相応しい壮大なフィナーレは、観るものを興奮と感動の渦に巻き込むものでした。個人的には、脚本や演出において、作品全体としてもう一段上のクオリティを求めてしまった部分もありますが、それでも十分に楽しめる作品でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
多趣味を活かしていろいろ発信しておりますので、興味のあるカテゴリーがございましたら他の記事ものぞいていただけると嬉しいです!
はてなブログの方は、読者登録もお願いします!
↓ MCU次作の解説&感想はこちら
↓ 他の映画の解説&感想もぜひご覧ください!