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映画『黒い罠』解説&感想 技法も光るフィルムノワール

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どうも、たきじです。

 

今回は1958年公開のアメリカ映画『黒い罠』の解説&感想です。

 

 

作品情報

タイトル:黒い罠

原題  :Touch of Evil

製作年 :1958年

製作国 :アメリカ

監督  :オーソン・ウェルズ

出演  :チャールトン・ヘストン
     ジャネット・リー
     オーソン・ウェルズ
     エイキム・タミロフ
     ヴィクター・ミラン
     デニス・ウィーバー
     バレンティン・デ・ヴァルガス
     マレーネ・ディートリヒ

上映時間:96分

 

解説&感想(ネタバレあり)

『黒い罠』は、公開当時こそ評価が分かれたものの、現在ではフィルム・ノワールの名作として知られています。『市民ケーン』で映画の既成概念にとらわれない表現技法を見せつけたオーソン・ウェルズ監督は、本作でも多彩な表現技法で観る者を魅了しています。

 

特筆すべきは、伝説的なオープニングシーンです。アメリカとメキシコの国境の街で、人々が行き交う中、自動車のトランクに時限爆弾が仕掛けられます。男女が乗り込み走り出した自動車をカメラが追い、やがて主演の2人がフレームイン。オープニングクレジットが表示される中、車が爆破されるまでの3分超の長回しです。

 

クレーンを駆使した流れるようなカメラワークが生み出す臨場感と、時限爆弾の緊張感が相まって、冒頭から観客を物語の世界に引き込みます。

 

オープニング以外でも、臨場感を生み出す1シーン1カットの長回しや、クインランの威圧感を強調するようなローアングル、不安定さを際立たせるダッチアングル(カメラを傾けて撮影する技法)など、多彩な技法でノワール的な世界観を際立たせています。

 

物語の方は、序盤のテンポの良い展開や、不穏なムードの盛り上げ方に目を見張ります。しかし、前半でさんざん盛り上げた割には、終盤はそこまで緻密な展開にならないのは惜しいところです。

 

ただ、ラストシーンは素晴らしいものです。クインランは証拠を捏造していたものの、その直感は合っていたという事実。そして、自ら手を下して瀕死となった相棒に撃たれ命を落とすクインラン。いかにもフィルム・ノワールらしい雰囲気のある結末です。また、クインランの亡骸が川に流れていくヴィジュアル表現は、彼の堕落と孤独を象徴するかのようで、観る者に強烈な印象を残します。

 

そして何より、マレーネ・ディートリヒ演じる酒場の主人ターニャがクインランの死を見届けた後の台詞が印象的です。

 

Schwartz: You really liked him didn't you?

シュワルツ: 君は本当は彼のことが好きだったんだろ?

 

Tanya: The cop did. The one who killed him. He loved him.

ターニャ: あの警官がよ。彼を殺した警官が彼を愛してたのよ。

 

Schwartz: Well, Hank was a great detective all right.

シュワルツ: ハンクは立派な刑事だった。

 

Tanya: And a lousy cop.

ターニャ: そして最低だった。

 

Schwartz: Is that all you have to say for him?

シュワルツ: 彼への言葉はそれだけか?

 

Tanya: He was some kind of a man. What does it matter what you say about people?

ターニャ: 彼は大した男だったわ。でもそれを言って何になるの?

 

Schwartz: Goodbye Tanya.

シュワルツ: じゃあな、ターニャ。

 

Tanya: Adiós.

ターニャ: アディオス。

 

脇役なのに、最後は1人で持っていってしまいます(笑)。バックで流れる自動ピアノの音色も効いていますね。

 

対照的に、主人公ヴァルガスはこの直前で妻の元に走り去り、物語からあっさりとフェードアウト。ギャングたちも、結末らしい結末が何も描かれないままです。この点は、少し消化不良を残します。

 

最後に

今回は映画『黒い罠』の解説&感想でした。終盤の展開や主人公たちの結末の処理にやや不満が残るものの、オーソン・ウェルズ監督による多彩な表現技法やラストシーンに象徴されるフィルム・ノワール的な世界観が強い印象を残す作品です。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!

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